[msg#wsiki]
問題
放物線\(y=x^2\)の上の点A\((a,a^2)\)における接線を\( l \)
点Aで\( l \)と角\(θ\)、角\(3θ\)で交わる直線\(l_2,l_3\)と
放物線のA以外との交点のx座標を\(x_1,x_2\)とするとき、
\(\displaystyle \lim_{θ \rightarrow 0} \frac{x_1-a}{x_2-a}\)
を求めよ。
角度が絡んでいる問題は、やり方を間違えると、計算が複雑になってかなり難しい計算になります。
解答(解き方)
まず、問題文を読んで図が描けなければ話になりません。
図を描くのも問題のうちです。この場合もそうですが、図が描けないというのは、問題の意味がわかってないのに等しいからです。
接線と角度θとなる直線は2通りありますが、どちらか一つを選んで図を書きます。
θと3θは同じ方向とは限りませんが、書きやすい方でを選びます。
といっても、この問題の図は書きにくいです。線が歪んでもいいので、自分だけでもわかるようにまずは書きます。
問題文にそって、直線\( l \)の方程式、\( l _1\)、\( l _2\)の方程式、それらの直線と放物線との交点の座標を求めていきます。
接線の方程式の求め方はこの場合、微分を使うと簡単です。
点Aでの微分は接線の傾きを表しているからです。
\(y=x^2\)の導関数は\(y=2x\)ですから、点Aでの微分は、\(2a\)です。これが直線\(l\)の傾きで、この直線は、\((a,a^2)\)を通りますから、直線\(l\)の方程式は、
\(y-a^2=2a(x-a)\)となります。
角度の計算が必要ですから\(l\)とx軸との角度をαとしておくと、
\(\tan α=2a\)
となります。
角度θは符号(向き)を持っているとして計算します(θの逆方向はーθで考えます)。
直線\(l_1\)の傾きは、\(α + θ\)ですから、
\(\tan (α + θ)=\frac{\tan α + \tan θ}{1 – \tan α \tan θ}\)
一方、座標のほうからも傾きが求められますから、
\(\tan (α + θ)=\frac{x_1^2-a^2}{x_1-a}=x_1+a\)
極限なので、\(x1 \ne a\)を前提にでき、約分できるのが計算を楽にしてくれます。
\(x_1-a=\frac{\tan α + \tan θ}{1 – \tan α \tan θ}-2a\)
\(\tan α=2a\)
でしたから、
\(x_1+a\\=\frac{2a + \tan θ}{1 – 2a \tan θ}\)
\(x_1-a=\frac{2a + \tan θ-2a + 4a^2 \tan θ}{1 – 2a \tan θ}\)
\(=\frac{ 1 + 4a^2 }{1 – 2a \tan θ}\tan θ\)
同様にして、直線\(l_2\)の方からも関係式を得ます。
\(\tan (α + 3θ)=\frac{\tan α + \tan 3θ}{1 – \tan α \tan 3θ}\)
\(\tan (α + 3θ)=\frac{x_2^2-a^2}{x_2-a}=x_2+a\)
\(x_2-a=\frac{\tan α + \tan 3θ}{1 – \tan α \tan 3θ}-2a\)
\(x_2-a=\frac{2a + \tan 3θ}{1 – 2a \tan 3θ}-2a\)
\(x_2-a=\frac{1 + 4a^2}{1 – 2a \tan 3θ}\tan 3θ\)
これで問題文にでている極限の式がθの関数として表されました。
ただし、θと3θは符号を無視して計算していることに注意しておきます。
つまり、組合せとしては、θと3θ、θと-3θ、-θと3θ、-θと-3θの組合せで極限を考える必要があるということです。
答えは最大4種類ある可能性があります。
パラメータが角度なので扱いにくい問題です。
この問題で使用する知識としては、傾きを\(\tan\)で表すことと、
\(\tan\)の加法定理で乗り切れます。
さらに、極限の公式として、
\(\displaystyle \lim_{θ \rightarrow 0 }\frac{\tan θ}{θ} =1\)
を念頭に入れておきます。
これは、公式ではないですが、下記のように簡単に示せますからこのような複雑な計算がある場合は、公式として使ってもよいと思います。
\(\displaystyle \lim_{θ \rightarrow 0 }\frac{\sin θ}{θ} \frac{1}{\cos θ} =1\)
\(\tan(3θ)\)を展開するとドツボにハマります。ここは展開しません。
ぶっちゃけ、\(\tan(θ)=θ\)、\(\tan(3θ)=3θ\)と見込んで計算の見通しがつくからです。
答え
(1)θと3θが同じ方向場合(同じ符号の場合)
\(x_1-a=\frac{1 + 4a^2}{1 – 2a \tan θ}\tan θ\)
\(x_2-a=\frac{1 + 4a^2}{1 – 2a \tan 3θ}\tan 3θ\)
であるから、
\(\displaystyle \lim_{θ \rightarrow 0} \frac{x_1-a}{x_2-a}\)
\(\displaystyle =\lim_{θ \rightarrow 0} \frac{1 + 4a^2}{1 – 2a \tan 1θ}\tan θ \frac{1 – 2a \tan 3θ}{1 + 4a^2} \frac{1}{\tan 3θ}\)
\(\displaystyle =\lim_{θ \rightarrow 0} \frac{1 – 2a \tan 3θ}{1 – 2a \tan θ} \frac{\tan θ}{\tan 3θ}\)
\(\displaystyle = \frac{1}{3}\)
(2)θと3θが逆の方向の場合(逆の符号の場合)
\(\displaystyle \lim_{θ \rightarrow 0} \frac{x_1-a}{x_2-a}\)
\(\displaystyle =\lim_{θ \rightarrow 0} \frac{1 + 4a^2}{1 – 2a \tan 1θ}\tan θ \frac{1 – 2a \tan (-3θ)}{1 + 4a^2} \frac{1}{\tan (-3θ)}\)
\(\displaystyle = -\frac{1}{3}\)
答え \(\displaystyle = \pm \frac{1}{3}\)
補足
直線\( l_1, l_2 \)が常に直線\(l\)と同じ側にあるとは限らないので、この問題は、問題文をひねくれて解釈すれば、「振動する」も答えの一つとしてあげるべきだと考えます。
入試の問題の場合には、そんなツッコミして反感をかってもいいことないので心におさめておきますが、深く研究するときには、そういう解釈も可能だと知っておいてよいのではないでしょうか。
数列の極限と、関数の極限の違いの研究としてもよいかもしれません。
数列は、離散的に変化する量を考えますが、関数は連続的に変化するこ量を(暗黙の)前提に考えることが多いです。
話は変わりますが、幾何学的な問題を計算によって解いた場合、式がかなり複雑で、場合分けも増えてくることが多いです。距離や角度などの関係式は一次式で表すことができないからです。
また、組合せなどで、いろんなパターンを考えすぎると、どツボにハマってしまう場合があります。
一番簡単なパターンでまず解いて、あとから肉付けしていったほうが、解答を得やすいと思います。
この問題もいろいろなパターンが考えられますが、まずa、θ、3θは正だと思ってまず解きます。
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その他の問題: 関数の極限に関する問題 数列の極限の問題一覧 数列の極限に関する問題2