東大1990年度前期文系第2問

3次方程式\(x^3+3x^2-1=0\)の一つの解を\(α\)とする。

(1) \((2α^2+5α-1)^2\) を\(aα^2+bα+c\) の形の式に表せ。ただし、\(a,b,c\)は有理数とする。
(2) 上の3次方程式のα以外の二つの解を(1)と同じ形の式で表わせ。

コメント

三次方程式の一つの解で残りの二つの解を表す問題です。通常の三次方程式では、一つの解をつかって残りの解を(\(aα^2+bα+c\) の形で)表すことはできません。

ベタな解法

(1) \((2α^2+5α-1)^2\)を\(aα^2+bα+c\)の形の式に表せ。

\(α^3=-3α^2+1\)の関係式をつかって3次以上の\(α\)を2次以下に落とし込んでいきます。

さて、ベタにやってみましょう。

\((2α^2+5α-1)^2\) //公式をつかって一気に展開
\( =4α^4+25α^2+1+20α^3-4α^2-10α \) //\(α^3\)を置き換え
\( =4α(-3α^2+1)+21α^2+1+20(-3α^2+1)-10α \) //\(α^3\)を置き換え
\( =-12α^3+4α+21α^2+1+(-60α^2+20)-10α \) //\(α^3\)を置き換え
\( =-12(-3α^2+1)+4α+21α^2+1-60α^2+20-10α \)
\( =-3α^2-6α+9 \)

計算ミスしないように丁寧にやります。

(2) α以外の二つの解を(1)と同じ形の式で表わせ。

通常の3次方程式では、このようなことはできません。この方程式はある意味特殊なのです。

(1)の結果がヒントになっているはずです。

まずは、解を\(α、β、γ\)とおいて、解と係数の関係式から考えます。

\( α+β+γ=-3 \)
\( αβ+αγ+βγ=0 \) //ここが0なのでちょっと計算が楽そうです。
\( αβγ=1 \)

これを、\(β、γ\)が変数で\(α\)は定数の2変数連立方程式だと思うと

\( β+γ=-α-3 \)
\( α(β+γ)+βγ=α(-α-3)+βγ=0 \)  から \( βγ=α^2+3α \)

またまた解と係数、こんどは2次、の関係から\(βとγ\) を解に持つ2次方程式は

\( x^2+(α+3)x+(α^2+3α)=0 \) であるので、解の公式から

\[ x= \frac{-(α+3)±\sqrt{(α+3)^2-4(α^2+3α)}}{2}\]
\[= \frac{-(α+3)±\sqrt{-3α^2-6α+9)}}{2}\]

残りの解を\(α\)で表すことができました。

ところが、問題は、根号(ルート)を使ってはいけないことになっています。せっかくできたと思ったのに!

ここから、クライマックス!

ここで、(1)の解答が利用されることになっていたのです。なので、(1)を計算間違いすると、(2)はほぼほぼ(絶対ではない)にできないはずです。すくなくとも、私には無理。

(1)の結果をつかって、開平できるので、あとは地道に計算。開平するときに絶対値をつけるのを忘れないようにしましょう。

\( \frac{-(α+3)±\sqrt{-3α^2-6α+9)}}{2}\)
\( =\frac{-(α+3)±\sqrt{(2α^2+5α-1)^2}}{2}\)
\( =\frac{-(α+3)±|2α^2+5α-1|}{2}\)
\( =\frac{-(α+3)+(2α^2+5α-1)}{2}, \frac{-(α+3)-(2α^2+5α-1)}{2}\)
\( =\frac{2α^2+4α-4}{2}, \frac{-2α^2-6α-2}{2}\)
\( =α^2+2α-2, -α^2-3α-1\)

できた!

解答

(1) \( -3α^2-6α+9 \)

(2) \( α^2+2α-2, -α^2-3α-1 \)

発展

疑問点1 上の解答では、\( αβγ=1 \) を使わなかったけどいいの?

大丈夫です。答案には\( αβγ=1 \) に矛盾しないことを記入したほうがよいと思います。

疑問点2 αが虚数解かもしれないのに、ルートの中の式として使ってもいいの?ルートの中が複素数になるかもしれないじゃん!

与えられた方程式を使ってグラフを書くと、この場合3実数解であることがわかるので、この問題ではαが複素数解になることはありえません。したがって、この心配は無用となります。

別の式が与えられて、αが複素数の可能性がある場合には、注意が必要です。というのは、通常根号(ルート)の中は正の実数であることが暗に仮定して使用する場合が多いからです。正の実数である場合には根号の意味は明解なので、この場合は問題ありませ。しかし、正の実数でない場合にはそれがなにを表しているのか定義付けが必要になります。一般の複素数に対しても、平方根や3乗根の定義はできます。しかし、たとえば、単に\( \sqrt[3]{-5}\) と書かれた場合、それが3個ある3乗根のうちのどれを選択しているのわかりません。実数なのか複素数なのか区別できません。選び方によって計算結果が変わるかもしれません。

この問題の場合ですが、平方根の中が仮に複素数であったとしても、結果的に答えはかわりません。ただし、絶対値の意味が複素数の場合は、変わってきます。