高校で習う微分と積分は、数学の中でもかなり高レベルな内容です。

言葉や公式は知っていても、なんか実感がわかないと思うのなら、

次の例えで微分と積分を考えてみてください。

 

微分と積分は速度と距離で考える

微分と積分を視覚的に理解するには、

  • 「微分」は「傾き」
  • 「積分」は「面積」

と捉えるのが王道です。

 

実際、私もこの考えで微分と積分を捉えています。

 

これはこれで、役に立つ捉え方ですが、

もしかしたら関数や極限などの数学的な表現に抵抗がある場合、

なんだかしっくり来ないかもしれません。

 

これは、なんだか、身近じゃないためです。

 

しかし、微分と積分は生活に密着している概念なのです。

 

車のダッシュボードを思い出してください。

そこには、速度計と距離計が表示されています。

これこそが、微分と積分が生活として現れている代表例です。

そして、歴史的にも速度と距離の関係から微分積分が研究されてきました。

つまり、速度や距離の関係を深く考えると微分積分の概念が生まれてくるのです。

 

距離を微分したのが速度、速度を積分したのが距離

突然ですが、小学校で次の公式を何度も使って覚えたと思います。

距離=速度 × 時間

速度=距離 ÷ 時間

これが距離と速度の基本関係式です。

この公式は小学生レベルですが、
この「時間」の部分を
限りなくゼロに近づけた状態も取り扱うのが微分と積分です。

 

概念的に、速度と距離は微分と積分の関係でつながっています。

 

距離を微分すると速度が導かれます。

速度を積分すると距離が導かれます。

これからわかるように、微分と積分はそれぞれ逆の操作になっています。

 

車の速度計は、動くスピードによっていろいろ変化しますよね。

あるときには、時速30Km、あるときには時速60Kmと。

これはどういう意味がというと、速度計が時速30Kmを指しているときには、その速度を維持したまま1時間走り続ければ30Kmの距離を進むことになるという事です。

同じ速度のまま1時間走った場合に進む距離で時速を表しています。

時速60Kmというのは、1時間で60Km進む速度のことです。

一定の速度で運転しているときには、実に単純な計算で速度と時間から進んだ距離がわかります。

 

瞬間的には速度は変化していますが、そのある瞬間の速度を、そのまま維持して1時間走った時に進む距離が、その瞬間の時速です。

 

 

微分とは

逆に車が1時間で60Km進んだとします。

この1時間の間、車の速度はいろいろ変化したかもしれませんが、平均的には時速60Kmで走ったと考えることができます。

もしこの1時間を2等分して距離を計測してみて、前半の30分で20Km、後半の30分で残り40Km走っていたとします。

この場合、前半30分は平均時速40Km、後半の30分間は平均時速80Kmだったと言えます。

さらにもっと詳しく調べるために、10分ごとに進んだ距離を測定し、それぞれの平均速度を求めることができます。

たとえば、10分おきに車が、

5Km,
5Km,
10Km,
15Km,
15Km,
10Km進んだとすると、

それぞれの区間の平均時速は、

30Km/h,
30Km/h,
60Km/h,
90Km/h,
90Km/h,
60Km/hと計算されます。

(km/hは時速を表す単位です)

さらに時間を細かくたとえば、1分間隔、1秒間隔と間隔を狭めてその時に進んだ車の距離を測定すると、もっと精度のよい平均時速がわかるようになります。

さらにさらに、0.1秒間隔、0.0001秒間隔と間隔を細かくすればするほど瞬間的な平均時速が求められます。

 

この瞬間的な平均速度のことを「微分」と呼びます。

瞬間的ですので、もはや平均などという必要もなくなります。

それは瞬間時速です。

 

瞬間時速は、短い時間と、その間に進んだ距離から求められています。

 

この現象を、「距離を(時間で)微分したら速度になった」と表現しています。

すこし数学的にいうと、微小な時間とその間に進んだ微小な距離の比が微分です。

 

 

積分とは

さきほど、積分は微分の逆だと言いました。

これはつまり、「速度を積分すれば距離が求まる」という意味です。

「距離を(時間で)微分したら速度になった」を裏返して言ったこと同じです。

先ほどの10分間隔で進んだ車の例では、

10分おきに、平均速度が
30Km/h,
30Km/h,
60Km/h,
90Km/h,
90Km/h,
60Km/hの平均速度で進んでいたとします。

この例の場合、スタートしてから20分後に何キロ進んだのか計算できます。

最初の10分間で考えると時速30kmで10分走ったわけですから、距離としては5km進んだことになります。

次の10分間でも同じく5km進んでいることが計算できますから、合計すると10Km進んでいると計算できます。

 

同じようなやりかたで40分間で進んだ距離も計算できます。

10分単位にわけて考えます。

最初の10分で5Km、
次の10分で5Km、
その次の10分で10Km、
さらにその次の10分で15Km<

進むことが計算できるので合計すると、40分では35km進んでいると計算できます。

 

これは10分単位で計算していますが、
もし1秒単位で平均時速を調べておけば、
もっと細かい単位で進んだ距離が計算できます。

時間を1秒単位に分割して
1秒毎に進んだ距離を積み上げると
1秒単位で進んだ距離が求められます。

もちろん1秒単位の粗さで計算していますから、求めた距離もそれなりの粗さの結果となります。

でも、間隔を例えば0.01秒単位に区切るとその粗さはさらに細かくなり、
より細かい間隔で考えることによって精度を高めることができます。

 

実は、究極に精度を高めた瞬間的な速度からも進んだ距離を求めることができるのです。

 

これが積分です。

時間を瞬間的な時間に分割したとして、
その瞬間瞬間でどれだけ進んだかを計算し、
それらをすべて積み上げたらどのような値になるのか、
計算することができるのです。

 

その計算方法を積分と呼んでいます。

 

これ、すなわち、速度を積分すると距離がでてくるというわけです。

 

 

これらの関係は、「時間と速度のグラフ」「時間と距離のグラフ」を書くことでより詳しく把握できます。

 

グラフを書くと、微分は傾き、積分は面積という形で現れてきます。

すなわち、「時間と速度のグラフ」からは、面積が距離となって表されており、

「時間と距離のグラフ」からは、傾きが速度となって表されています。

 

 

まとめ

微分と積分の概念を具体的に捉える時には、速度と距離の関係を例に捉えるとよい。

距離を(時間で)微分すると速度を求めることができる。

速度を(時間で)積分すると距離を求めることができる。

 

微分や積分している変数に注意

これまでの話で、「(時間で)微分」「(時間で)積分」のように、「(時間で)」という用語を付け加えて書きました。

この「(時間で)」の部分は通常は省略されます。

 

「距離を時間で微分すると速度がわかる」は、
「距離を微分すると速度がわかる」

と「時間で」を省略して言ったり書いたりすることが多いのです。

いちいち言わなくてもわかるだろということなのです。

 

しかし、「何で」微分しているのか、積分しているのかはものすごく重要です。

それを勘違いすると、異なる結果になってしまいます。

 

通常、関数は変数xで表しますが、この場合「xで微分すると」のようにどの変数で微分するのか明確にする必要があります。

しかし扱っている変数がxしかない場合には、「xで」の部分を省略し、「微分すると」という言い方が多いです。

例えば、

\(\displaystyle x^2\)を微分すると\(\displaystyle 2x\)といった具合に。

この場合は変数が\(x\)だけですので、微分している変数は\(x\)です。

 

しかし、変数が複数ある場合にはどの変数で微分しているのかきっちり確認することが必要です。

例えば、

\(\displaystyle ax^2+b\)を微分すると\(\displaystyle 2ax\)といった具合に言うかもしれません。

これは\(x\)で微分したときは、そうです。

しかし、\(\displaystyle ax^2+b\)は、\(a\)で微分することも可能です。

その場合は、\(\displaystyle x^2\)となります。

微分する変数で結果が変わることに注意してください。

変数が複数ある場合には、つねに「何で」微分しているのか注意しなければなりません。

 

そうでなければ、合成関数の微分なども、これではまります。

 

微分の記号で

\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\)

の形の場合は、yをxで微分したとわかりますが、

\(\displaystyle f'(x)\)のようにダッシュを付けて微分した関数を表す場合にはなにで微分したのか文脈で判断しなければなりません。

 

省略記号は便利ですがなにが省略されているのかわかってなければ、弊害があります。

注意しましょう!

 

積分に関しても同様です。

\(\displaystyle \int f(x)dx\)

と書かれた場合は、関数\(f(x)\)を\(x\)で積分するという意味です。

積分の最後についている\(dx\)によって、なにで積分するのかを明示しています。

 

口頭では、\(ax^2\)を積分すると\(\frac{a}{3}x^3\)であるなどという言い方があるのでこれも注意しましょう。

この場合は、「\(x\)で」積分した場合です。

「\(a\)で」積分すると\(\frac{x^2}{2}a^2\)です。

 

 

上記を式で書くと

\(\displaystyle \int ax^2 dx = \frac{a}{3}x^3 +(積分定数)\)

\(\displaystyle \int ax^2 da = \frac{x^2}{2}a^2+(積分定数) \)

です。