素数とは何か?

Wikipedeiaに2通りの素数定義があります。どちらも意味は同じです。

素数(そすう、英: prime number)とは
定義その1.「正の約数が 1 と自分自身のみで、 1より大きい自然数」
定義その2.「正の約数の個数が 2 である自然数」

簡単にいうと、素数とは
(1)自然数
(2)約数が2個
がポイントです。

「1より大きい」について

これは、ずばり、1を素数に入れないためです。
「1より大きい自然数」に1は含まれませんので1は素数から除外されます。
ここは、「2以上の自然数」と書き直した方が明確でよいかもしれません。

「正の約数」について

単に約数というと、場合によっては「負の数の約数」も考えることがあるので、それを避けることを明示するために「正の約数」と記しています。

あとで詳しく書きますが、通常、約数といえば、正の数だけを考えたほうが都合がよいです。

約数の個数を数えるときも、通常は、正の約数だけを数えます。

また、1の約数は1だけですので、1の約数の個数は1個です。
約数の個数が2個の自然数が素数です。
約数の個数が3個の自然数もありますが、名前はついていません。素数の自乗の形をしています。

 

約数について

素数について知るためには、約数について知る必要があり、これが肝の部分です。約数とはその数を割り切る数のことです。
言い換えると、分数を使わないで割り算(整除)したとき、あまりが0になる数のことです。

例えば、2は6の約数です。それは、6を2で割ったとき、3あまり0になるからです。

自然数nに対して、n=1×nが常に成立しますから、

1はすべての自然数の約数であり、自分自身nも自然数nの約数となります。

約数の説明については以上です。

小さな素数は簡単に見つけることができますが、数字が大きくなるにつれ、それの約数が簡単にわからなくなり、素数なのか合成数なのか見分けが付きにくくなってきます。

最初の10個ぐらいの素数は覚えておくのは賢明です。そのために、素数の例として、最初の10個を示しておきます。

素数の例(小さい順):2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,…
となります。実は素数は無限に存在しています。

 

素数の練習

21~30の自然数のなかに素数がどれくらいあるか調べてみます。

21は3×7と分解できるので合成数(素数ではない)
22は2×11と分解できるので合成数
23はこれ以上分解できないので素数
24は4×6と分解できるので合成数
25は5×5と分解できるので合成数
26は2×13と分解できるので合成数
27は3×9と分解できるので合成数
28は4×7と分解できるので合成数
29はこれ以上分解できないので素数
30は3×10と分解できるので合成数

よって、21~30の間にある素数は、23と29の二つです。

 

すぐにわかる合成数判定

素数かどうかの判定は一般的にかなり難しいです。しかし、すぐに合成数であることがわかる場合があります。

その中でも特によく使われるのが、1の位を調べることです。

1の位が2で素数であるのは2だけです。また1の位が5である素数は5だけです。

もう少し発展させると、1の位が0,2,4,5,6,8で終わっているのは合成数です。例外は2と5だけ。

なので、素数といえば、末尾の数が1,3,7,9となってるものしかありません。

素数であることを調べるためには、全ての約数を調べる必要がありますが、1とその数自身以外の約数が1つみつかれば合成数であることがすぐに判定できるのです。

入試問題などでは、よく素数でないことを示せという問題がでたときには、1とその数自身以外の約数を1つ見つけよ(全部見つけなくてよい)という問題と同じです。

例えば、最近中学生の知識でも解ける京大の入試問題素数でないことを使って解く有名入試問題(京大)があります。

 

 

素数はどこで使うのか

それでは、なぜ素数をといった数を考えるのでしょうか。

簡単にいうと、数を分解するためです。
数を分解することで数のことがよりわかるようになるのです。

これ以上分解できないところまで分解した数が、数の素、素数というわけです。逆に、素数以外の数は合成数といいますが、それらは素数をかけてできるので、素数は数の素になっていると考えることもできます。

掛け算を主体に分解するとき、それ以上分解できない数が素数です。

分解した数をさらに分解していくと、最後にはそれ以上分解できない状態になります。
その分解した状態にすることを、素因数分解するといいます。
素数はそれ以上分解できない数ですから、素因数分解した結果に表れる数は素数だけになります。

分解の仕方にかかわらず、素因数分解したときにでてくる数はいつも同じになっています。

 

18を素因数分解

18を例に素因数分解してみます。

18=2×9と分解できます。そして、9はさらに3×3と分解できます。
これ以上分解できるところがないので、18の素因数分解は、2×3×3です。

一方、18=3×6と分解することもできます。ここで6はさらに、2×3と分解できますから、
18=3×2×3と素因数分解できます。
掛ける順番は違っても、さきほど素因数分解した結果と出現する素数の数は同じになります。

ここで、たとえば、2=1×2ですから、2は1と2に分解できると考えることもできますが、
このような分解を許してしまうと、1を使うことでいくらでも分解することができてしまうので、1を使った分解は許さないようにするのです。
こうすると、掛け算で分解する方法はいつかは終わります。

これが1を素数にしない最大の理由です。もし、1を素数の仲間にいれてしまったら、18=1×2×3×3と4つの素数に分解されてしまい、1を使うことでさらに分解操作を続けることができてしまいます。つまり、1を素数にすると素因数分解は果てしなく続きます。終わりがありません。

1を素数にせず、1を使った分解を禁止にすると、掛け算による分解操作はいつか終わります。

 

足し算での分解と掛け算での分解

分解することをいちいち、「掛け算での分解」と書いてきたのには、訳があります。
「足し算での分解」というのもあります。
「足し算での分解」と比較することでより、「掛け算での分解」の意味がわかると思いますので、18を足し算で分解してみます。
たして18になる数を考えるのが足し算での分解です。
18=3+15より、足し算では3と15に分解できます。3は、さらに1+2と分解できます。

足し算での分解では、0を使うのが禁止です。0を使うと、2=0+2のように、いくらでも分解できてしまいますから。
もちろん、負の数を使った分解も禁止です。
すると、18は最終的に、18個の1を足す式、
18=1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1+1
と分解され、これ以上分解できなくなります。

これが足し算での分解です。
足し算での分解は最終的に1だけの足し算の式になります。

ここは、「足し算での分解」と「掛け算での分解」と違うところです。
足し算の場合は、最後は1だけの足し算になるのですが、掛け算の場合には、素数の掛け算になります。

ある意味、1は足し算での素数といえる数といます。

1は素数ではありませんが、足し算での分解においては素数と言えます。

 

負の数の扱い

先に、通常、約数は正の数のみ考えると書きました。
それは、分解の一意性を保つためです。

負の数は、(-1)×(正の数)と考えます。

負の数の約数も考えられなくはありません。
例えば、18=(-2)×(-3)×3ですから、-2や-3は18の約数です。

実際、因数分解する時には負の数も含めて考えないとできません。

しかし、-2=(-1)×2、-3=(-1)×3と考えると、負の約数は、正の約数の(-1)倍した数になっています。

ですから、
18=(-2)×(-3)×3
は、
18=(-1)×2×(-1)×3×3
=2×3×3
の分解と同じと考えます。

 

単数

1の正の約数は1だけと書きましたが、範囲を自然数から整数に拡大すると、-1も1の約数と考えることができます。

負の数を含めて考えたとしても、1の約数は1と-1の2個です。
1については負の約数も考えることにします。

すると、例えば18の約数は、負の数も含めて、(1の約数)×(18の正の約数)の形に一意に書き表すことができて便利です。

こういった性質があるので、1の約数だけ負の数も考えることにし、通常の自然数については、正の約数だけ考えれば用がすんでしまうというわけです。

1の約数のことを特別に単数(unit)と呼びます。
1の約数は1と-1の2個ですが、別の言い方でいうと、整数の単数は1と-1の2個といいます。

そして、「すべて(正と負)の約数は、(単数)×(正の約数)で表すことができる」ということもできます。

整数においては、単数は1と-1の2個です。

単数と合わせて考えると、約数は正の約数だけ考えればよいことがわかります。

 

まとめ

(1)素数とは、正の約数が2個の数で、掛け算によってそれ以上分解できない数のことである。つまり数の素である。

(2)1は素数に含めない。こうすることで、自然数の掛け算での分解が一意に定まる。

(3)1については特別に負の数も含めた約数を考え、それらを単数と呼ぶ。

(3)負の約数は、単数と正の約数の積で表すことができる。

 

補足

素因数分解の一意性について

一意に素因数分解できるというのは、掛ける順序は除いて考えます。

 

0の素因数分解

0は素因数分解の対象になりません。0=2×0などという分解は禁止です。したがって、0は素数としても扱われません。0はすべての数の倍数と考えることは可能です。しかし、0の約数を考えることはしません。いろいろと拡大解釈をすることは可能でしょうが、素因数分解は自然数が対象です。0を自然数に入れる流儀もありますが、それでも0を素因数分解することはありません。