中学生の知識で解ける整数問題
2014年日本ジュニア数学オリンピック予選第6問
問題
\(n+16,16n+1\)がともに平方数となる正の整数\(n\)を全て求めよ。
失敗解答
\(n\)に適当に代入して規則を発見する。
適当に代入しても、一つも解を得ることができません。解はわりと大きい(10以上)の数のようです。
条件が二つあるので、\(n+16\)が平方数となる\(n\)の集合と、\(16n+1\)が平方数となる\(n\)の集合の共通部分をもとめればよいのですが、\(n+16\)が平方数となる\(n\)の集合が、平方数から16を引いていくことである程度はわかりますが、今ひとつ漠然としています。
\(\{n \in \mathbb{N}|n+16が平方数\}\\ =\{9,20,33,48,65,84,105,\cdots\}\)
\(16n+1\)が平方数となる\(n\)の集合にいたっては、さらに漠然としています。
\(\{n \in \mathbb{N}|16n+1が平方数\}\\ =\{3,5,14,18,33,39,60,68,95,105,\cdots\}\)
はて、こういう考え方ですすめるとハマってしまいます。ハマりました。
実は、上の集合は気合いれて計算しているので、少なくとも\(n=33,105\)という解があることはわかりますが、ここまで計算するだけでも、相当な時間を要しています。それに全ての解を求めきっていません。
注目点
「全て求めよ」これはヒントになります。なぜなら、これは解が有限個しかないことを示唆しているからです。
ということは、なんらかの範囲で\(n\)が押さえ込めるのかとも思えますが、今回はそう単純にはいかない問題でした。
この問題は、テストとしては嫌な問題ですが、暇な時に考えるにはいい問題といえます。
解答をみれば、なんだという感じです。なかなか問題文から芋づる式に解答を導く方法が見つかりませんでした。さすがはオリンピックという感じの問題です。
\((4a+b)(4a-b)=255\) となる自然数\(a,b\)を全て求めよという問題なら、かなりの人が解けると思いますが、そこに結びつくまでには、それなりの洞察力と直感力が必要とされます。
全て求めよというときには、なんからの範囲で絞り込む問題で、「1つ(1組)求めよ」というときは、解が無限に存在する可能性が高いということです。
解答
\(n+16=a^2,16n+1=b^2\)と変数\(a,b\)を追加し連立方程式にしたて、不定方程式として解きます。
連立から\(n\)を消去すると、
\(16(a^2-16)+1=b^2\)
\(16a^2-b^2=255\)
\((4a+b)(4a-b)=3 \cdot 5 \cdot 17\)
となって、右辺の積の分解のしかたが有限個なので、ここから解をすべて求めることができます。
ここから先は地道な計算なので省略しますが、最終的には\(n=33, 105, 1008\)を得ます。
コメント
念のために解答がただしいか計算してみました。
たしかに、
\(n=33のとき、\\ n+16=49=7^2,16n+1=529=23^2\)
\(n=105のとき、\\ n+16=121=11^2,16n+1=1681=41^2\)
\(n=1008のとき、\\ n+16=1024=32^2,16n+1=16129=127^2\)
となって、題意を満たしています。
とてもじゃないですが、\(n=1,2,3,…\)とやって、規則を見つけて解くなんてやり方では太刀打ちできない答えでした。
16が平方数なので、上記にような解答ができましたが、16が15だったら、因数分解できなくなるため、この解き方では太刀打ちできません。似たような問題でも全然難度が変わってきます。
類題
\(n+15,15n+1\)がともに平方数となる正の整数\(n\)を一つ求めよ。
答えが有限個か無限にあるのかわかりませんが、
\(n=1のとき、\\ n+15=16=4^2,15n+1=16=4^2\)
\(n=129のとき、\\ n+15=144=12^2,15n+1=1936=44^2\)
などの解を得ます。
\(n=385,8449,24321,524161,\cdots\)解は無限にあるように見えます。
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