奇素数とは

奇数の素数のことを奇素数と呼びますが、素数は2を除くと全て奇数です。

つまり、奇素数とは、2以外の素数のことをいうのです。

「2でない素数」これでも同じ意味ですが、すこしでも短い用語のほうが命題がすっきりするわけですね、そういうわけで奇素数という用語があります。

短い用語がすっきり、これはわかったけど、そこまでして文字を節約するほどのものなのでしょうか。

1は素数ではない、これに同意する人は多いです。

2は素数ではない、これは同意できないでしょう、だって、2は素数ですから。

しかし、2は素数の中でもちょっと変わった振る舞いをするのです。ですから、2が特別扱いされることが多いのです。2のどこが特別かって、そりゃ、3や5も特別ですよ、3は3で割れる唯一の素数ですし、5は5で割れる唯一の素数です。2が2で割れるのが特別といわれても、ピンときません。

でも、2はやはり特別なのです。偶数だからというより、数の構造が2を特別な存在にしているように思えます。

2のどこが特別か

それでは2を特徴することを書いてみます。

まず、2は対応を表します。表裏、右左、前後、陽と陰、男と女、世の中には2つの組み合わせになっていることが非常に多いのです。これが2を特別な存在にしています。なにかあるところにはいつも、2の存在があるのです。対応で結びついているものは、半分に割れやすいというわけです。

逆数の逆数は元の数、転置行列の転置行列は元の行列、双対定理、なにかと対になっている構造が多いです。それらの構造を調べていくと、2に関する性質がからんでいます。

2の特異性

最大の特徴は、1の次の数ということでしょう。最小の素数という位置づけもあります。

ある意味、最小の単位であるのです。これが2の特異な部分です。

その性質にからんでか、2の剰余は特別です。

mod2、2で割った余りを考えることがよくあります。{0}を体としなければ、
\(\{0,1\}=\mathbb{Z}/(2\mathbb{Z})=F_2\)は最小の体です。

この体は病的な性質があります。なぜなら、\(+1と-1\)が同じ意味なのです。足し算と引き算が同じに扱われます。そして、\(-1=1\)です。符号はあってないようなものです。

なにもかもが潰れてしまって、最後に残ったひとかけらが\(\{0,1\}\)でしす。こういった性質から、2は場合によって、忌み嫌われたり、好まれたりしています。2があってよかったー。

2だから成立する、2だから成立しない、こんな命題が結構あって、2以外の素数が登場する場面が多いのです。それで、「奇素数」が登場するシーンは多く、これからも増えていくとと考えます。

Feit–Thompsonの定理

「任意の奇数位数の有限群は可解群である。」

もう2の特殊性はこれにつきますね、2がないと可解群しかつくれない、つまり可解でない有限群は2を位数にもつのです。2がなければ群の構造ももっと簡単になってたことでしょう。

メルセンヌ素数

メルセンヌ素数とは、「2n − 1n は自然数)の形の自然数」のことであるが、2が関係している。

「3n − 1」のような形の自然数については、あまり議論されない。

完全数

完全数とは、「その数自身を除く約数の和が、その数自身と等しい自然数のことである。」

2p− 1が素数なら、2p−1(2p − 1) は完全数の形になる。完全数を作り出すために、2が大活躍する。

参考問題

2011年静岡大(奇素数の問題)

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