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問題

底辺\(a\)、高さ\(h\)の二等辺三角形がある。

(1)この三角形の内接円の半径\(r\)を\(a,h\)を用いて表わせ。

(2)\(n\)が0でない整数で、\(ah^n=1\)をみたしながら、\(a,h\)が変化するときに、
\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}\)を求めよ。

(名古屋大)

 

 

 

解答(解き方)

(1)

内接円の半径を求める問題は、三角形の面積から求めるのが定番です。

内接円の半径を\(r\)、三角形の3辺の和を\(s\)とすると、その三角形の面積は、内接円の中心と頂点を結んでできた線で分割して考えると、\(\frac{1}{2}sr\)で表されます。

 

(2)

ちょっと、わかりにくく、勘違いしそうですが、nは定数です。つまりnは動きません。

求める極限の式には\(a\)が使われているので、\(h\)を消去することを考えます。

\(h=(\frac{1}{a})^{1/n}\)

を極限の式に代入すると、

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}\)

\(\displaystyle =\lim_{a \rightarrow \infty} \frac{h}{a+\sqrt{a^2+4h^2}}\)

\(\displaystyle =\lim_{a \rightarrow \infty} \frac{(\frac{1}{a})^{1/n}}{a+\sqrt{a^2+4(\frac{1}{a})^{2/n}}}\)

\(n=1\)だと、比較的簡単ですが、nが追加さえていることでいろいろなケースを考える必要がでてきます。

計算がしにくい場合は、\(n=1,-1,2,-2\)あたりで練習してから取り掛かるとよいかと思います。

ともかく、上記の式は不定形の形ですので、aで分子、分母を割ってくずします。

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{\frac{1}{a}(\frac{1}{a})^{1/n}}{1+\sqrt{1+4\frac{1}{a^2}(\frac{1}{a})^{2/n}}}\)

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{(\frac{1}{a})^{(n+1)/n}}{1+\sqrt{1+4(\frac{1}{a^2})^{(n+1)/n}}}\)

つい、nを∞にしたくなるような式ですが、問題はそうではないので、注意します。

n>0の場合とn<-1の場合で、\((\frac{1}{a})^{(n+1)/n}\)の行き先が変わるので場合分けします。

 

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}\)

\(\displaystyle =\lim_{a \rightarrow \infty} \frac{(\frac{1}{a})^{(n+1)/n}}{1+\sqrt{1+4(\frac{1}{a^2})^{(n+1)/n}}}\)

n>0の場合:

\((\frac{1}{a})^{(n+1)/n} \rightarrow 0\)なので、

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}=0\)

 

n=-1の場合:

\((\frac{1}{a})^{(n+1)/n} \rightarrow 1\)なので、

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}=\frac{1}{1+\sqrt{5}}\)

\(\displaystyle =\frac{\sqrt{5}-1}{4}\)

 

n<-1の場合:

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}\)

\(\displaystyle =\lim_{a \rightarrow \infty} \frac{(\frac{1}{a})^{1/n}}{a+\sqrt{a^2+4(\frac{1}{a})^{2/n}}}\)

分子は0に、分母は無限大に大きくなるので、この極限値は0です。

このあたりは、具体的にn=-2,-3などで試してみるとよいと思います。

 

 

 

答え

(1)

二等辺三角形の底辺でない方の辺の長さは、

\(\displaystyle \sqrt{\frac{a}{2}^2+h^2}\)で計算できるので、3辺の和は、

\(\displaystyle 2\sqrt{\frac{a}{2}^2+h^2}+a\)である。

一方、二等辺三角形の面積は、\(\displaystyle \frac{ah}{2}\)であるから、

\(\displaystyle \frac{ah}{2}=\frac{r(2\sqrt{\frac{a}{2}^2+h^2}+a)}{2}\)

\(\displaystyle r=\frac{ah}{2\sqrt{\frac{a}{2}^2+h^2}+a}\)

\(\displaystyle r=\frac{ah}{a+\sqrt{a^2+4h^2}}\)

 

 

(2)

 

n<-1または、0<nの整数の場合:

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}=0\)

 

n=-1の場合:

\(\displaystyle \lim_{a \rightarrow \infty} \frac{r}{a}=\frac{\sqrt{5}-1}{4}\)

 

 

 

 

 


 

 

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