解と係数の関係
そのまんま、解と係数の関係。美しいです。
これ以上の関係式はない。しかし、この関係式から解を求めようとしてもそうは問屋がおろしません。
3次方程式
\(x^3+ax^2+bx+c=0\)の3個の解を\(α、β、γ\)とします。
3次方程式は複素数の範囲で重複も含めて数えるとちょうど、3つの解を持つことが代数学の基本定理ですね。
さて、逆に\(α、β、γ\)を解にもつ三次方程式を考えます。
\((x-α)(x-β)(x-γ)=0\)
これがそうです。左辺を展開します。
\(x^3-(α+β+γ)ax^2+(αβ+αγ+βγ)x-(αβγ)=0\)
\(α、β、γ\)を解にもつ三次方程式のなかで、3次の係数3次の係数が1であるものは一つしかない(※)ので、係数を比較すると、
\[
\left\{
\begin{array}{l}
α+β+γ=-a\\
αβ+αγ+βγ=b\\
αβγ=-c
\end{array}
\right.
\]
となるわけです。
対称的な式で美しいですね。ちょっと符号に注意が必要ですが。
これを\(α、β、γ\)に関する連立方程式とみなして解けば、3次方程式の解が求まるわけですが、なかなか解けるものではありません。
それを解くためにさらに複雑な方程式を解くはめに陥ります。
ただ、
\(αβγ=-c\)の関係式はかなり使える関係式です。
なぜなら、この三次方程式が整数解をもつのかどうかを調べることができるからです。なによりも代数的整数論でこの式は大活躍です。
もし、整数解をもつのなら、素因数分解の一意性からcを素因数分解から解を見つけることができるからです。
例
たとえば、上記3次方程式の係数a,b,cが全て整数だとして、さらに\(c=6\)だったとします。もし、この3次方程式が整数解を持つとするのなら、解の絶対値はcの約数でなければなりません。今\(c=6\)としていますので、解の候補は、-6,-3-2,-1,1,2,3,6の4つの候補に絞り込まれるわけです。
このどれもが解でなかった場合、この3次方程式は整数解を持たないことになります。実は、整数解どころか、有理数解も持つことはできません。つまり、\(frac{1}{2}\)などの分数がその3次方程式の解になることもありえないということです。
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※3次の係数が1である二つの方程式が同じ解を持つ場合その二つの係数は一致する。この証明が必要な命題を使いました。自明とも言いたい命題ですが、証明は必要でしょう。実際、いろいろな証明法があると思います。