最大数(最大の数)
ここで言う最大数とは、数の中で最大に大きい数の事です。
自然数の中に最大数はありません。どんな自然数Mをもってきても、それより大きい自然数例えばM+1が存在しているからです。
実数の中にも最大数はありません。理由は自然数と同じです。任意の実数よりさらに大きい実数が存在しているからです。
それでも、これら自然数や実数を超えたなんらかの数を考えたくなります。それを無限大と呼んだりします。この無限大は自然数や実数の最大数に相当する数のように考えることもあります。
しかしよく考えるとわかりますが、これを最大の数と考えるのは無理があります。理屈は簡単です。最大の数よりさらに大きい数を考えることができるからです。1をたしたり、2倍するなどして。
あらゆる自然数、あらゆる実数より大きい数を考えてそれを無限大と呼んでいるのと、最大の数を無限大と呼んでいるのを混乱して使っている場合が多々あります。混乱というより、都合よく扱っているといったほうがよいかもしれません。
しかし、数として無限大を扱う以上は、演算も定義しなければ意味がなく、無限大に対してだけ特別な演算ルールを定義したとするのなら、代数演算もそれに則って計算する必要があります。
また、無限大は一つでなく何種類もあるという考え方もあります。そこから、それらの無限大のなかで最大の無限大を想定したくなるわけですが、この最大の無限大の存在を仮定したとしても、代数的にうまく扱えるかどうか相当な検証が必要です。
絶対無限
あらゆる無限大もすべてひっくるめて考えた最大数を絶対無限と呼ぶこともあります。絶対無限は一つで、それは存在するが、人間の思考を超えた存在であるので、それに触れることはできないと考えます。存在だけを承認するものの、最大に大きい、すべてを超越した存在とだけ考え、それに対して演算などは考えません。あえていうなら、絶対無限になにを加えても、足しても、絶対無限にしかなりません。まさにブラックホールのような数です。絶対無限+絶対無限、絶対無限×絶対無限、絶対無限の絶対無限乗、こういった数もすべて絶対無限の領域では一括りです。絶対無限はそれらを飲み込みます。
∞の演算は便宜的、∞は発散数列の代表元
便宜上、∞という数を考え、それらに演算らしき演算を定義することがあります。
例えば、∞+1=∞、∞+∞=∞、のような式です。∞-∞は不定なので計算できないなどとします。
これらの式に意味がないとは言いませんが、これは、∞を数として扱っているのではなく、状態として考えているわけです。状態があたかも数として振る舞っているように見えてますが、最初に無限を扱うときには、これらの区別ができなくて、数のように∞を考えます。実際、数のように∞を扱いたいのです。
∞を状態として扱うとはどういうことかを説明します。この説明はあまりされていませんが、数学(解析)では暗に常識的な考え方です。
∞は発散する数列と考えています。例えば、a1=1,a2=2,a3=3,…,an=n,…といった(プラスの無限大に)発散する数列です。このような数列の代表元です。∞+∞とは、発散する数列と発散する数列をたしたら発散する列になると言う意味です。
実際、∞は発散する数列をイメージしなければ捉えることができません。単純い大きな数という考え方では曖昧すぎるのです。
したがって、∞/∞などが意味を持ってきます。これは発散する数列と発散する数列の比がどのような数列になるかという意味ですから、どのような発散する数列を選んだかによって結果が変わってきます。なので不定といいます。
級数も一般的には数列として考えます。たとえば、
\[ \sum_{k=1}^∞ \frac{1}{k} \]
なども、数列
\[ a_n=\sum_{k=1}^n \frac{1}{k} \]
の極限の意味で使われます。
解析ででてくる∞は一般的になんらかの数列の極限として考えています。あえて言うこともありませんが、念のためにいうと、∞という擬似的な数を当てはめて(代入して)得られた数として考えることはしていません。
まとめ
- あらゆる自然数や実数より大きい数を考えることができてそれを無限大と言うことがある。
- 一般に無限大は最大数(絶対無限)ではない。無限大より大きい無限大も考えることが可能。
- 絶対無限が存在するのかしないのかは哲学的な問題であって、数学的にその存在は示せない(数の対象としない)。
- 解析では∞をある数列として考えている。∞という数を考えているわけではない。
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