[msg#wsiki]
問題(1)数列の極限を求める(三角関数あり)
問題
\(\displaystyle \frac{\cos^n \alpha}{1+\sin^n \alpha}\)
の極限をもとめよ。
解き方
いきなり三角関数があって面食らいますが、
\(\displaystyle s=\cos \alpha \)
\(\displaystyle t=\sin \alpha \)
と置くとなんのことはない式になります。
問題与式
\(\displaystyle = \frac{\cos^n \alpha}{1+\sin^n \alpha}\)
\(\displaystyle = \frac{s^n }{1+t^n }\)
|s|<1の時、|t|≦1、sn→0
s=1の時、t=0、sn→1
s=-1の時、t=0、sn振動(-1,1と交互にでてくる)
三角関数は、絶対値が1以下であるからそれも利用されます。
s=1になるのは、αが2mπの場合(mは整数)
s=-1になるのは、αが(2m+1)πの場合(mは整数)
αの値によっては、分母が0になって数列の定義ができない場合もありますが、上記の結果をまとめれば、答えがでてきます。
解答
(1)\(\alpha\)が\(2m \pi\)の場合、1に収束する。
(2)\(\alpha\)が\((2m+1)\pi\)の場合、発散(振動)する。
(3)\(\alpha\)が上記のいずれでもない場合、0に収束する。
※mは整数に限る
補足
この問題の、\(\alpha\)は定数です。
もし、この\(\alpha\)がnによって変化する変数の場合、この解き方で解くことはできません。
\(\alpha\)が定数(固定値)であるため、rやtが定数となって等比数列の収束判定が使えるのです。
問題(2)数列の極限を求める(級数タイプ)
問題
\(\displaystyle \frac{1}{n^3}(1^2+2^2+\cdots +n^2)\)
の極限をもとめよ。
解き方
\(\displaystyle 1^2+2^2+\cdots +n^2\)
の一般項を表す式(「…」をなくした式)がわからないと解けません。
この式の場合、公式から一般項を表すことができます。
\(\displaystyle 1^2+2^2+\cdots +n^2=\frac{n(n+1)(2n+1)}{6}\)
この公式を使うと
与式
\(\displaystyle =\frac{n(n+1)(2n+1)}{6n^3}\)
\(\displaystyle =\frac{1(1+1/n)(2+1/n)}{6}\)
となりますから1/3に収束となります。
解答
1/3に収束
問題(3)数列の極限を求める(級数タイプ)
問題
\(\displaystyle \frac{1}{n}(\frac{3n}{n}+\frac{3n+1}{n}+\cdots +\frac{4n-1}{n})\)
の極限をもとめよ。
解き方
\(\displaystyle \frac{3n}{n}+\frac{3n+1}{n}+\cdots +\frac{4n-1}{n}\)
の一般項を表す式(…をなくした式)がわからないと解けません。
この式の場合、分母が共通の1/nですからそれでくくると、
分子は、
1つづ増える等差数列となっていますから、その総和として一般項を求めます。
※nがいろいろでてきてややこしいですから下記のように変形してみやすくします。
\(\displaystyle \frac{1}{n}(3n+0)+\frac{1}{n}(3n+1)+\frac{1}{n}(3n+2)+\cdots+\frac{1}{n}(3n+(n-1))\)
\(\displaystyle = \frac{1}{n}(3n)n+\frac{1}{n}(0+1+\cdots+(n-1))\)
\(\displaystyle = (3n)+\frac{1}{n} \frac{(n-1)n}{2}\)
\(\displaystyle =3n+\frac{n-1}{2}\)
\(\displaystyle =\frac{7n-1}{2}\)
となります.
したがって、この式を問題式にあてはめると、
与式
\(\displaystyle =\frac{7n-1}{2n}\)
となって、この数列は7/2に収束します。
解答
7/2に収束
問題(4)数列の極限を求める
問題
\(\displaystyle \frac{1 \cdot 2 + 2 \cdot 3 + \cdots +n \cdot (n+1) }{n^3}\)
の極限をもとめよ。
解き方
分子にある「…」部分をなくした式に変形(計算)します。
幸い、∑の公式が適用できますので一般項を求めることができます。
まず、分子だけ計算すると、
\(\displaystyle 1 \cdot 2 + 2 \cdot 3 + \cdots +n \cdot (n+1) \)
\(\displaystyle = \sum_{k=1}^{n} k(k+1) \)
\(\displaystyle = \sum_{k=1}^{n} (k^2+k) \)
\(\displaystyle = \sum_{k=1}^{n} k^2+ \sum_{k=1}^{n} k \)
\(\displaystyle = \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}+\frac{n(n+1)}{2} \)
\(\displaystyle = \frac{n(n+1)(2n+1+3)}{6} \)
\(\displaystyle = \frac{n(n+1)(n+2)}{3} \)
与式
\(\displaystyle = \frac{n(n+1)(n+2)}{3n^3} \)
\(\displaystyle = \frac{1(1+1/n)(1+2/n)}{3} \)
となって1/3に収束する。
解答
\(\frac{1}{3}\)に収束する。
まとめ
- nが指数部分についている場合は、\(|r|<1の時 r^n \rightarrow 0\)を使う。
- 一般項(第n項)をnの有理式の形に整えることができたら、1/n→0を利用する。
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猫野の解析は
鉄則微分・積分
をテキストとして使っています。
鉄則ゼミ1の問題を解いています。