素因数分解と因数分解と言葉が似ていますね。
どちらも分解するという意味では同じです。
数学では、言葉の定義がしっかりと明白であれば、どのような用語を使うのも自由です。
ですが、一般的に素因数分解と因数分解は使い分けされている用語です。
素因数分解
ずばり素因数分解とは、自然数を素数の積に分解することです。
素因数分解の「素」は素数の「素」です。
「素因数=素数」と考えて問題ありません。素数の因数を素因数と呼んでいるのです。
分解されたものを「因子」または、「因数」と呼びます。
自然数(整数の場合もあります)を素数の積で表すことを素因数分解といいます。
この場合、因子は素数です。
つまり、素因数分解は、素数の因子に分解することです。
因数分解
因数分解は、素因数分解を発展させたものです。
どう発展させたのかといいますと、分解の対象を自然数から多項式に発展させています。
実は多項式も数と同じ性質をたくさん持っていて、「式」でありながら、ある意味「数」と考えることもできるのです。
というか、実は、多項式は広い意味で「数」です。数の性質をしっかりと持っているからです。
混乱を避けるために、ここでは多項式は数といわず、式と言うことにします。
いわゆる自然数や整数、実数などの数と区別するために多項式は式と呼んだほうが具合がよいのです。
自然数(整数)と多項式は非常に性質が多くの点で似ています。
数の仲間ですから当然のことです。
自然数を素因数分解するように、多項式も積の形に分解できます。
多項式を積の形に分解したのが因数分解です。
「素」がついていません。これは「因子」が一般的に式だからです。
自然数の世界ではこれ以上積の形に分解できない自然数を素数と呼びましたが、
多項式の世界では、これ以上積の形に分解できない式を既約多項式と呼んでいます。
これ以上割り切れる式がないと言う意味で、既約(これ以上約せないという意味)という用語を使っています。
既約多項式の例は、\(x^2+2\)や\(x-1\)があります。
この二つの多項式を掛けると、\(x^3-x^2+2x-2\)となります。
これを逆にみると、\(x^3-x^2+2x-2\)は因数分解すると、
\((x^2+2)(x-1)\)になると言います。
なお、分解されてでてきた既約多項式のことを(式でありながら)因数といいます(もちろん因子ともいいます)。
既約多項式も広い意味では数ですから因数といってもなんら問題ありません。
ですが、因数というと式のイメージがなくなるせいもあって、因子と呼ぶ人も結構多いです。
例えば、共通因子で括るなどといった使い方からも、因子と呼ぶ方が自然です。
多項式を式とみているのか、(広い意味での)数として見ているのかの観点の違いで使い分けますが、どちらもとどのつまりは、同じ意味です。
因子について、具体的に例文をあげてみます。
「\(x^3-x^2+2x-2\)は、\(x-1\)と\(x^2+2\)を因子に持つ」という言い方をします。
これは、別の言い方で「\(x^3-x^2+2x-2\)は、\(x-1\)や\(x^2+2\)で割り切れる」というのと同じ意味です。
「割り切れる」というのを逆の視点でみると、「因子を持つ」という言い方になります。
因子分解や素因子分解
因数と因子は同じだと書きました。
ですが、習慣で使い分けされています。因数分解のことを因子分解ということはまずありません。
私は、昔ひねくれていて、因数分解のことを因子分解などとわざと間違えて書いたりしたことがありますが、「因子分解」という言い方は日本語では通じないと思います。
教科書にも、「因数分解」と書かれています。
分解したものは、因子でも因数でもどちらでもかまいませんが、「因子」という言い方がよく使われてるように思います。そこの風土によるでしょうが、私の場合はそうでした。
因子の特別な場合が因数と考えることができるので、因数の代わりに因子といっても間違えでないわけです。
したがって、「因子」は、自然数についても使えます。「2は6の因子である。」という言い方はすんなりと通ります。
このあたりは習慣なので、習慣に従うようにしましょう。
因子分解だとか、素因子分解などとしゃれたつもりで言っても、それはひねくれ者と思われかねません。
私みたいに、ひねくれ者と呼ばれないように、やはり習慣にはそれなりの意味があります、従いましょう。
まとめ
積で分解されたものを「因数」とか「因子」と呼びます。
「素因数分解」は自然数に対して使う用語(整数に対して使う事もある)。
「因数分解」は多項式に対して使う用語(一般の式に対して使う事もある)。
なお、対象が自然数の場合、「約数」、「因数」、「因子」は全て同じ意味になります。
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説明が下手い
訪問ありがとうございました。
もっと、わかりやすさを念頭におき、精進するよう努力いたします。