複素数の中でも、実数部がないものを純虚数と言います。
一般に複素数は、虚数単位を\(i\)とした時、
\(a+bi\)(ここで\(a,b\)は実数)という形で表すことができます。
この場合、\(a\)の部分を実部(実数部)、\(b\)の部分を虚部(虚数部)と呼んでいます。
この記号を使った時、
\(b=0\)の形の複素数\(a+bi\)は実数と同じとみなすことができますから、
実数は複素数に含まれると言います。
これと似ていますが、
\(a=0\)の形の複素数\(a+bi\)を純虚数と呼ぶわけです。
したがって、純虚数は特別な複素数といえます。
純虚数から「純」の文字をとった「虚数」という用語もよく使われます。
これは、実数でない複素数のことを指すことが一般的ですが、
場合によっては、複素数のことを虚数と呼ぶ場合もあります。
ぶっちゃけて簡単にいうと、
虚数単位\(i\)を含んだ複素数が虚数なわけです。
\(i\)が入っていない複素数が実数です。
\(i\)だけの項しかない複素数が純虚数というわけです。
複素数に\(i\)がどんな感じで入っているのかで区別するわけですね。
複素数、実数、純虚数、虚数の例
いろいろ例で見たほうがイメージが付きやすいと思いますので、以下に例を挙げます。
実数の例
いうまでもなく、自然数、整数、分数(有理数)、無理数、小数(循環小数、無限小数ともに)はすべて実数です。
代表的なものを種類毎に分けて、いくつか例として列挙してみます。
1, 2, 3,…
0, -1, -2, -3, …
\(\displaystyle \frac{1}{2}, \frac{1}{3}, \frac{2}{5}, \frac{332}{211},\)…
\(\displaystyle \sqrt{2},\sqrt[3]{2}\),…
0.5, 1.5, 99.9, 3.1415…, 0.333…, 2.18, …
実数の表し方はいろいろありますが、どんな実数でも小数で表すことができます。
(厳密にいうと、無限小数は小数点以下が無限に続くので現実に書くことができませんが)
なお、身近で使われている数はほとんど実数です。
(0以外の)実数は2乗すると、正の実数となります。
これは実数の大きな特徴ですね。
純虚数の例
\(\displaystyle 2i, -6i, \frac{2}{3}i, -2.5i, \sqrt{5} i. \)…
純虚数は、すべて虚数単位\(i\)がついています。
純虚数は2乗すると負の実数となります。
これは必要十分条件ですので、
ある数を2乗して負の実数になったとしたら、
「それは純虚数であった」ということになります。
0を純虚数の特別な場合とみなすことも可能です。
しかし、通常0は実数とみなしますが、純虚数とはみなさないことが多いです。
純虚数の性質
- 純虚数は、実数に\(i\)を掛けたものである。
- 実数に\(i\)を掛けたり、割ったりすると純虚数となる。
- 逆に純虚数に\(i\)を掛けたり、割ったりすると実数になる。
- (0以外の)純虚数は、2乗すると負の実数になる。
- 純虚数の共役複素数は、-1を掛けたものと同じである。
- 純虚数の実部は0である。
- 純虚数と純虚数は、足したり引いたりしても純虚数である。
- 純虚数と純虚数をかけると実数になる。割っても実数になる。
虚数の例
純虚数も虚数の特別な場合として考えることができますから、虚数です。
ですから先程の例であげた、
\(\displaystyle 2i, -6i, \frac{2}{3}i, -2.5i, \sqrt{5} i. \)…
は虚数となります。
逆に、純虚数でない虚数の例を挙げると、
\(\displaystyle 1+2i, 6-6i, \frac{2+5i}{3}, \frac{1}{3}-5.5i, \sqrt{2}+3\sqrt{5} i. \)…
いくらでもありますが、
虚数の特徴は、実数(\(i\)がつかない数)と純虚数の和となっています。
逆に虚数でない例は、実数です。
複素数の例
実数の例、純虚数の例、虚数の例、それらはすべて複素数です。
複素数は、「実数+純虚数」の形で表すことができます。
\(5-7i\)という複素数があった場合、
これは実数\(5\)と純虚数\(-7i\)の和でできていると考えます。
(たったの2個ですが)複数の数を使って表している数だから、それを複素数と呼ぶわけですね。
純虚数という用語はあまり出る幕がないのですが、
複素数が実数と純虚数の和で表されることから、
「純虚数」という用語は実数と対比して使われることが多いです。
どんな複素数も、実数と純虚数の和として表すことができます。
0の扱い
0(ゼロ)は、あらゆる数の特別な例といえます。
0は
特別な整数でもあり、
特別な分数でもあり、
特別な小数でもあり、
特別な複素数でもあり、
特別な純虚数でもあります。
通常は0を自然数とはしませんが、0を自然数とみなす学派もあります。
そして、
0を特別な虚数
と見なす場合もあります。
まとめ
複素数を\(a+bi\)(ここで\(a,b\)は実数)という形で表した場合
- a=b=0 ⇛ その複素数は0(実数でもあり、純虚数でもあり、虚数でもあり、複素数でもある)
- a≠0,b=0 ⇛ その複素数は実数(純虚数ではないし、虚数でもないが、複素数である)
- a=0, b≠0 ⇛ その複素数は純虚数(実数ではない、虚数でもある、複素数でもある)
- a≠0, b≠0 ⇛ その複素数は虚数(実数ではない、純虚数でもない、複素数ではある)
言葉で書くと、一目瞭然でわかるとはなりません。
今ひとつピンと来ない場合は練習問題として、
表でまとめたり、ベン図をつかって包含関係など図示するとよいです。
※「虚数」=「複素数」とみなす使い方をする人もいます。