数列の極限として説明しますが、関数の極限の場合もこれと同じ考え方で通用します。
数列の極限
収束と発散の定義
数列{an}がある数αに限りなく近く、もしくは一致するとき、
数列{an}はαに収束するといい、
\(\displaystyle \lim_{n→\infty}a_n = \alpha\)
もしくは、
\(\displaystyle n→\infty のとき、a_n→\alpha\)
と書きます。
そして、
αを数列{an}の極限(極限値)といいます。
収束しない数列は、発散するといいます。
数列の極限の求め方(基本)
数列の一般項が不定形の場合は、式変形して、\(\frac{1}{n}\)の式になるように表し、\(\frac{1}{n}\)の部分を0に置き換えると極限が求められます。
不定形のままでは極限は求められません。
よくでてくる不定形の形を下記に示します。
- \(\displaystyle ∞ – ∞ \)
- \(\displaystyle \frac{∞}{∞}\)
- \(\displaystyle \frac{0}{0}\)
- \(\displaystyle ∞×0 \)
- \(\displaystyle 1^∞\)…指数部分に注目すると不定形になる場合です\(e^{0×∞}\)。
例題
例題1
問題
数列
\(\displaystyle a_n=\frac{3n-4}{n-2}\)
の極限をもとめよ。
解き方
- 一般項が、不定形∞/∞の形であるので、それを避けた形に変形します。
- 分母と分子をnで割ります(定番操作です)。
解答
\(\displaystyle a_n= \frac{3-\frac{4}{n}}{1-\frac{2}{n}}\)
より、
n→∞のとき an→3
答え 極限値は3
例題2
問題
数列
\(\displaystyle a_n=\sqrt{n+3}-\sqrt{n}\)
の極限をもとめよ。
解き方
- 一般項が、不定形∞-∞の形であるので、それを避けた形に変形する。
- ルート記号があるときには、(この問題の場合は分子)有理化を考える。
- ∞にしたときの極限は、比の形(分数の形)で求められることが多いので、分母に1があると思って変形します。
解答
\(a_n\)に\(\displaystyle \frac{\sqrt{n+3}+\sqrt{n}}{\sqrt{n+3}+\sqrt{n}} =1\)をかけると、
\(\displaystyle a_n= \frac{(\sqrt{n+3}-\sqrt{n})(\sqrt{n+3}+\sqrt{n})}{\sqrt{n+3}+\sqrt{n}}\)
\(\displaystyle = \frac{3}{\sqrt{n+3}+\sqrt{n}}\)
したがって、
n→∞のとき、an→0
答え 極限値は0
例題3
問題
数列
\(\displaystyle a_n=\sqrt{n^2+3n+1}-n\)
の極限をもとめよ。
解き方
- 一般項が、不定形∞-∞の形であるので、それを避けた形に変形します。
- ルート記号があるときには、なんとか有理化できないか考えます。
解答
\(a_n\)に\(\displaystyle \frac{\sqrt{n^2+3n+1}+n}{\sqrt{n^2+3n+1}+n} =1\)をかけると、
\(\displaystyle a_n= \frac{(\sqrt{n^2+3n+1}-n)(\sqrt{n^2+3n+1}+n)}{\sqrt{n^2+3n+1}+n}\)
\(\displaystyle = \frac{3n+1}{\sqrt{n^2+3n+1}+n}\)
\(\displaystyle = \frac{3+1/n}{\sqrt{1+3/n+1/n^2}+1}\)
n→∞のとき、an→3/2
答え 極限値は\(\displaystyle \frac{3}{2}\)
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