有限小数と循環小数
実数を小数で表すことができるが、小数で表したときの数の並び方で、有限小数、循環小数、無限小数に分類される。
例を見たほうが、わかりが早いのでいくつか例を示す。
有限小数の例
- 0.03
- 0.125
- 0.99999
など 10のベキで割り切れている(分母が10のべき数にできる)実数が有限小数にあたる。
つまり、10倍、10倍と10倍を繰り返していくといつか整数になるのが有限小数である。
循環小数の例
- 0.333… (3が永遠に続く)
- 0.20810810820… (小数第2位から081が循環している)
- 0.9999・・・ (9が永遠に続く)
ある桁から数字が循環して現れる。循環する部分を循環節と呼ぶ。
9が循環して現れるのは特別である。通常そのような小数表示は行われない。
なぜなら、循環節が9である小数は有限小数であるからである。
あるところから0が永遠に続いている循環小数も考えることができるが、これは有限小数に他ならない。
この意味で有限小数は循環小数の一種ともみなせる。
有理数は、有限小数か循環小数である。
逆に、有限小数、循環小数は有理数である。
循環小数を分数(有理数)に直す方法(例)
循環節が123である循環小数0.123123123…を分数に直すには、
x=0.123123123…
とおき、1000倍する。
1000x=123.123123…であるから、
1000x-x=999x=123 (小数部以下抹消される)
よって、x=123/999=41/333
である。実際、41を333で割ると0.123123123…となる。
循環小数の分母は、999…999000…000(…部分は9や0が続くの意味)の形で表すことができる。
たとえば、0.888121212…(12部分が繰り返す)を有理数(分数)で表す事を考えてみる。
まず、x=0.888121212…とおいて1000倍すると
1000x=888.121212…となる。
さらに100倍すると
100(1000x)=88812.121212…となる。
100(1000x)-1000xを計算すると,小数部分が相殺され(これが狙い!)、
99(1000x)=88812-888=87924
よって、x=87924/(99000)
と表すことができる(分母は999…999000…000の形となっている)。
約分すると、7327/8250であって、実際これを計算してみると。
7327/8250=0.888121212…(12が繰り返される)
となっている。
無限小数の例
- 3.14159… (円周率)
- 1.41421… (√2)
有限小数でも循環小数でもない小数を無限小数という。無理数は無限小数である。
循環小数は無限等比級数である
無限等比級数とは、等比数列からできる無限級数のことである。
先程の例0.123123123…は下記の様に無限級数の形式で書き表すことができる。
\[123*\frac{1}{1000}+123*\frac{1}{1000^2}+123*\frac{1}{1000^3}+…\]
この無限級数は、初項123/1000,公比(1/1000)の等比数列からなる無限級数である。
公比の絶対値が1より小さいので収束しその収束値を計算すると有理数41/333となっている。
このように、循環小数はかならず収束する無限等比級数で表すことができ、実際、循環小数を正確に定義する場合には、この無限等比級数を使って定義する。
無限等比級数とは、無限級数のなかで、ある条件を満たした特別な級数である。
このある条件を取っ払った無限級数は、(収束すれば)その極限値はある実数に対応している。これが実数の正体ともいえる(実数の完備性)。
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