集合って簡単そうで難しい概念です。
理由はいろいろ考えられますが、そんな難しいことではなく、ここでは「集合の集合」という用語を具体的例を通して説明したいと思います。
集合の例
まずは、集合の例をあげます。
集合は、中括弧つまり、「{」と「}」で囲んで表します。
集合の例1
{10,20,30}
これは3つの自然数からなる集合です。名前をS1としておきましょう。
この集合S1の元(要素)は、10、20と30の3つです。
S1={10,20,30}
と書くこともできます。
集合の例2
{赤、青、緑、黄}
これは色の集合です。元(要素)の数は4つです。
この集合にも名前を付けておきます。
S2という名前にしました。
S2={赤、青、緑、黄}
と書くこともできます。
「集合の集合」の例
2つの集合の例を出しましたが、この2つの集合を元(要素)にもつ集合が「集合の集合」です。
この例の集合の集合を記号で書くと、
{{10,20,30},{赤、青、緑、黄}}
となります。
この「集合の集合」の元(要素)の個数は、2個で、10はこの「集合の集合」の元(要素)ではありません。
この「集合の集合」にも名前をつけておきます。
S3という名前にしました。
さきほど付けた名前を使って
S3={S1,S2}と書くこともできます。
こうすると、普通の集合のようにみえ、この集合の元(要素)が集合であることがわかりやすくなります。
もっとも有名な「集合の集合」の例
部分集合の集まり
集合の部分を抜き出して部分集合を作ることができます。
例えば、{10,20}は、S1の要素からできているのでS1の部分集合です。
S1の部分集合を全部列挙すると、要素のない空集合も含めて
{}
{10}
{20}
{30}
{10,20}
{10,30}
{20,30}
{10,20,30}
となります。これらを集めて、「(部分)集合の集合」を作ることができます。
S4という名前を付けて書くと、
S4={{},{10},{20},{30},{10,20},{10,30},{20,30},{10,20,30}}
となりますが、
このS4は「集合の集合」の例です。
このように、集合があれば、「集合の集合」を作ることができます。
とんでもない概念「集合の集合」
「集合の集合」も集合ですから、さらに「「集合の集合」の集合」を作ることもできます。
注目してほしいのは、空集合を要素に持つ集合も考えることができる点です。
{{}}も「集合の集合」で集合です。
さきほどは、空集合を{}で表しましたが、この空集合にφという名前をつけておくと、すこし見やすくなります。
空集合を元(要素)に持つ集合は、{φ}こうなります。
そして、{φ,{φ}}こんな「集合の集合」も考えることができます。
なんだか、集合の集合を考えると、元(要素)を元としてみるのか、集合としてみるのか2通りの見方ができてややこしくなってきますね。
空集合という一つの集合に対して、「集合の集合」という考え方で集合を作っていくと、無限の集合の例が作れます。
そう、無限の集合の例ができるのです。
集合の集合という概念は、たった一個の空集合から、無限の集合を生み出します。
集合の集合とは、簡単なようですが、意外につかみどころのない考え方なのです。