問題

\(f(x)=x^4+2x^2-4x+8\)
とする。
(1) \((x^2+t)^2-f(x)=(px+q)^2\)
がxの恒等式となるような整数t,p,qの値を1組求めよ。

(2) (1)で求めた\(t,p,q\)
の値を用いて方程式\((x^2+t)^2=(px+q)^2\)
を解くことにより、方程式\(f(x)=0\)
の解をすべて求めよ。

コメント

簡単に因数分解できない4次方程式を解く問題です。
(1)がヒントになっていますが、
\(f(x)=(x^2+t)^2-(px+q)^2\)
と書いてないところが、ちょっとひねりのように見えます。ちょっと、見かけを難しくみせようとしたのでしょうか。

文字の色が薄いところは、心の声です。失敗した内容などを書いています。

ベタな解答

この問題はベタにやるしかないでしょう。
もしかしたら、奇抜な解き方があるかもしれませんが、そんな余裕はないので、
とっとと恒等式が成立する条件を作って、\(t,p,q\)
を求めます。
計算時間はなかなか短縮できないので、正確に一発で計算完了にするのが、結局は解答を作る早道です。

\(t,p,q\) を求める

(1)さて、
\(f(x)=(x^2+t)^2-(px+q)^2\)
を展開し、係数を比較します。

\(f(x)=x^4+2x^2-4x+8\)
\(=x^4 +2tx^2 +t^2 -(p^2x^2+2pqx+q^2)\)
\(=x^4+(2t-p^2)x^2 -2pqx +t^2-q^2\)

\(x^3\)の項がないし、わりと簡単に展開できました。
連立します。

\(2t-p^2=2\)
\(-2pq=-4\)
\(t^2-q^2=8\)

この3つの連立方程式から\(t,p,q\)
を求めます。
複数の解の組がありえますが問題文より求めるのは1組でよいです

2次式になっているので、ちょっと工夫しないと解けません。
ここがこの問題の山場になります。

文字を\(t\)と\(p,q\)
に分けて考えるとうまくいきそうです。
ちょっと変数の付け方をサービスしてくれているようです。

\(p^2=2t-2\)
\(q^2=t^2-8\)
\(pq=2\)
となります。

まずは、\(p,q\)を\(t\)の式で表してみます。

この辺りは式の形をみて、うまく変数消去するのですが、
ここでは、式の対称性に注目し\(p^2,q^2\)
を先にもとめてみます。

\(p^2+q^2=t^2+2t-10\)
\(p^2q^2=4\)
なので、\(p^2,q^2\) を解に持つ二次方程式は、
\(x^2-(t^2+2t-10)x+4=0\)

\(x=\frac{(t^2+2t-10)±\sqrt{(t^2+2t-10)^2-16}}{2}\)
\(\frac{(t^2+2t-10)±\sqrt{(t^2+2t-10)^2-16}}{2}=p^2=(2t-2)\)
から\(t\) を求める。

これでもできそうですが、式が複雑になってしまいました。

ここはちょっと別の角度からもみてみましょう。

問題に、\(t,p,q\)
が整数と書いてあるので、これを利用できそうですが、ここではベタな方法で突き進みます。

\(p^2q^2\)
が二通りの\(t\)式で表せるので、

\((2t-2)(t^2-8)\\=2t^3-2t^2-16t+16 = p^2 q^2 = 4\)

\((t-1)(t^2-8)\\=t^3-t^2-8t+8=2\)
から\(t\)が求まります。
3次方程式ですが、変数は一つです。
やったー!

\(t^3-2t^2-8t+12=0\)
因数分解できるはずです。それも整数で。

あれ、ちょっとやりにくい。
\(t\)は整数で解になっているというヒントがあるので、

\((t-2)(t^2-8)= 4\)
に戻って考えます。
4を1と4の素因数に分解して、\((t-2)=1,(t^2-8)=4\)
になる数を考えると、
\(t=3\)が解だとわかるので因数定理で因数分解します。こういうのは端に書いて答案に書く必要はありません。

\(t=3\)が解だとわかるので、\(t\)の答えとして\(t=3\)を採用。
いちおう、念のために他の解も求めておきましょう。
検算も兼ねて
\(t^3-t^2-8t+6\\=(t-3)(t^2+2t-2)\)
他の\(t\)も求まりますが、問題の条件から\(t\)は整数でなければならないので\(t=3\)を答えとして採用です。

\(t\)が求まると、\(p,q\)も元の関係式から求まります。

\(p^2=2t-2=4からp=±2\)
\(q^2=t^2-8=1からq=±1\)

一組の解でよいので、
答え\((t,p,q)=(3,2,1)\)

簡単な整数解になるように問題は仕込まれていました。

ありがたや。

f(x)=0の解を求める

(2) さて、本題です。\(f(x)\)の解を求めます。

(1)の結果をつかって\(f(x)\) を因数分解します。

\( f(x)=(x^2+3)^2-(2x+1)^2 \)
をみると因数分解できることがわかります。

\((x^2+3+2x+1)(x^2+3-2x-1)=0 \)
を解くと、

\(x=-1±\sqrt{3} i, 1±i\)
が求まりました。

答え \(x=-1±\sqrt{3} i, 1±i\)

コメント
(1)で誘導されなければ、\(f(x)\)の因数分解ははなはだ困難でありますが、できないことはないかもしれません。私には無理な因数分解ですが。

振り返って、よーく問題をみると、\(t,p,q\)
は整数であることが条件なので、(1)式から、例えば定数項の、
\(t^2-q^2=8\)
から、
即座に\(t=3,q=1\)
を見つけ、一気に解答が導ける人もいるかもしれません。
すばらしい能力です。私には絶対にできない事なのでうらやましいです。
スピードを競うのであれば、こういったテクニックが有効になってきます。
ここでは、地味な計算でなんとかしのぎました。

さて、この方法をちょと拡張すれば、一般の4次方程式も解けます。
この問題では\(t\)が簡単な整数と置けたので、手計算で解を求めることができましたが、
一般の4次方程式では、\(t\)に関する方程式が3次方程式の解(ルートを含んだ複雑な形)をしているため、4次方程式の解の公式を書き表すのは複雑すぎて困難です。


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