東大の問題から
問題の内容をかみくだくと、次の数列\(x_{10}\)の1の位の数を求めよという問題になります。
\(x_1=1\)
\(x_2=3^{x_1}=3\)
\(x_3=3^{x_2}=3^3=27\)
\(x_4=3^{x_3}=3^{3^3}=3^{27}\)
\(x_5=3^{x_4}=3^{3^{3^3}}\)
\(x_6=3^{x_5}=3^{3^{3^{3^3}}}\)
\(x_7=3^{x_6}=3^{3^{3^{3^{3^3}}}}\)
\(x_8=3^{x_7}=3^{3^{3^{3^{3^{3^3}}}}}\)
\(x_9=3^{x_8}=3^{3^{3^{3^{3^{3^{3^3}}}}}}\)
\(x_{10}=3^{x_9}=3^{3^{3^{3^{3^{3^{3^{3^3}}}}}}}\)
莫大な大きさの数に発展していく数列です。
整数の問題です。時間制限のなかで解くには、プレッシャーで押しつぶされそうですが、整数の問題は、とくに公式というような公式はつかわず、整数の加減乗除で解いていける問題です。約数や余りの計算など、いろいろな整数の計算をしてるかどうかで差がでてくるのかな、と思います。
整数問題は、答えをみれば、意外に簡単に解けてしまうことも多いですが、はまってしまうとなかなか答えにたどり着きません。
さて、さっそく、問題を下記に示します。(1)(2)については、中学生でも解ける人は多いのではないかと思います。ナンプレなんかよりずっと簡単です。(3)をみると、式の形にちょっと戸惑いますが、計算に慣れ親しんでいないと捨てたくなる問題になっています。
それでは、例のごとく、ここでは泥臭くといていきます。設問(1)(2)が解答を導く手がかりとなっています。
(1)の答え
普通にn=1から5まで計算すればいいでしょう。
\(3^1=3\)
\(3^2=9\)
\(3^3=27\)
\(3^4=81\)
\(3^5=243\)
掛け算九九で簡単ですね。n=5の場合の\(3^5=243\)もそんなに難しい計算ではないですね、それに調べるのは1の位だけみればよい(10位上の位は無視)ので、1の位の数と3を掛けていけば次々と1の位の数は求まります。すると、1の位は、3,9,7,1,3,9,7,1,…と3,9,7,1の繰り返しであることがわかります。
答えの書き方はいろいろあると思いますが、nを4で割った余りで場合分けして書くのが一般的だと思います。
\(a_n=3 nを4で割ったときのあまりが1のとき。\)
\(a_n=9 nを4で割ったときのあまりが2のとき。\)
\(a_n=7 nを4で割ったときのあまりが3のとき。\)
\(a_n=1 nを4で割ったときのあまりが0のとき。\)
(2)の答え
3=(4-1)と考えるのがポイントです。
まあ、(1)でもとめた\(3^n\)を実際に4で割っていけばすぐに、3,1の繰り返しであることがわかると思います。
(1)と違って、(2)の解答は結論だけではだめなのでなにか理由を書く必要があります。
数学的帰納法でも示せると思いますが、さきほど書いた3=(4-1)をつかって、
\(3^n\\=(4-1)^n\\=\sum {}_nC_r 4^r(-1)^{n-r} \\↑2項定理の式です\\=(4の倍数)+(-1)^{n}\)
を使って証明できます。
なお答えとして\(b_n=(-1)^n\)
と書きたくなりますが、問題文をよく見ると余りを求めよなのでその形式にあわせます。
これも場合わけのかきかたがよいと思います。
答え
\(b_n=3 nが奇数のとき。\)
\(b_n=1 nが偶数のとき。\)
(3)の答え
これが本題でしょう。
わかりにくいので、まずn=1,2と代入して計算してみます。
\(x_1=1\)
\(x_2=3^{x_1}=3\)
\(x_3=3^{x_2}=3^3=27\)
\(x_4=3^{x_3}=3^{27}=???\)
さすがに、\(3^{27}\)は計算機がないと。計算できません。
ちなみに\(3^{27}=7625597484987 \)
でも、求めるのは1の位だけです。それに、\(x_n\)は、\(3^t\)の形をしています。
10で割った余りを求めるのが問題なので、tを4で割った余りがわかればよいのでした。
(1)の結果から、t=27は4で割ると3余るので\(3^{27}を10で割ったあまりは7 \)
ここでだいたいやり方がなんとなくわかってきます。
\(x_5=3^{x_4}\)
さきほど出した記号でいうと指数は\(t=x_4\)です。
\(x_4\)を4で割った余りがわかれば、\(x_5\)を10で割った余りがわかります。
こういう構造です。
\(x_4\)は、奇数ですから4で割ったあまりは、3
(∵(2)の結果より)
したがって、\(3^{x_4}\)は10でわると余り7
(∵(1)の結果より)
つまり、\(x_5\)を10でわると余り7。
もう、ここまでくれば答えは見えています。
偶数か、奇数か、4で割ったあまりは何か?
このあたりがわかれば、\(x_{10}\)を10で割った余りは求まります。
まだわからなければ、\(x_5\)のときど同様にして、
\(x_6\)を10で割った余りを求めます。
\(x_6=3^{x_5}\)
\(x_5=3^{x_4}\)
上記二つの式をにらみます。
まず、\(x_4\)は奇数、よって\(3^{x_4}\)を4で割った余りは3
つまり\(x_5\)を4で割った余りは3
\(3^{x_5}\)を10でわると余り7。
あれ、さっきと同じジャン。
パターンが。
念のために
\(x_7\)も同様にやると、\(x_7\)は10でわると余り7。
なんだ、ずーっと余り7の連続だ!
答え \(x_{10}を10で割った余りは7\)
コメント
余りからまた余りをもとめて計算するという2段構えで、しかも指数で式が書きにくいですが、暗算などが得意な人であれば、サラサラできる問題だと思います。
ただ、指数の指数の・・・と指数が入れ子になっているので、式としては非常に書きにくいです。
なんとかわかりやすくと思ってかいたのですが、どうもごちゃごちゃしてすみません。
\[x_{10}=3^{3^{3^{3^{3^{3^{3^{3^3}}}}}}}\]となっているのですが、指数を上の方から計算しておとしていくと
\[x_{10}=3^{4m+3}\]の形になることがわかって、この形は10で割ると7余るパターンだということです。
まとめの表
規則性がわかるように表にしました。
\(x_n\) | 偶奇 | 4の剰余 | 10の剰余 |
\(x_1\\=3^0\\=1\) | 奇 | 1 ∵3の偶数乗 |
1 ∵3の(4m+0)乗 |
\(x_2\\=3^{x_1}\\=3\) | 奇 | 3 ∵3の奇数乗 |
3 ∵3の(4m+1)乗 |
\(x_3\\=3^{x_2}\\=3^3\) | 奇 | 3 ∵3の奇数乗 |
7 ∵3の(4m+3)乗 |
\(x_4\\=3^{x_3}\) | 奇 | 3 | 7 |
\(x_5\\=3^{x_4}\) | 奇 | 3 | 7 |
\(x_6\\=3^{x_5}\) | 奇 | 3 | 7 |
\(x_7\\=3^{x_6}\) | 奇 | 3 | 7 |
\(x_8\\=3^{x_7}\) | 奇 | 3 | 7 |
\(x_{9}\\=3^{x_8}\) | 奇 | 3 | 7 |
\(x_{10}\\=3^{x_9}\) | 奇 | 3 | 7 |
[ad#foot]