極限で無限大を比較するとは、発散する数列の比較である
無限大の定義
無限大を、単に大きな数とだけ定義したのでは、大きさについて漠然と定義されただけの存在にすぎない。そもそもそれは数にならない。
そこで、無限大とは、正の無限大に発散する数列(実数列)とここでは定義する。
実数や数列は既存の概念であるから、それらの基盤を利用することができる。
改めて無限大の定義を述べると、正の無限大に発散する数列{an}が、
\[\lim_{n→∞}a_n = ∞\]
となるとき、数列{an}を無限大と呼ぶ。
無限大の演算
無限大は数列であるから、演算が定義できる。
{an}+{bn}={an+bn}によって、{an}と{bn}の加法が演算できる。その他の演算についても同様にできる。
ただ、残念ながら、ある項に0が含まれている数列に対しては除算がうまく定義できないので、加法、減法、乗法だけの演算を対象にする。
したがって、無限大/無限大については考察から外れることになる。
実は、これが数列を用いて無限大を表した時の難点だ。
これの穴埋めをしようすると、さらに問題がでてきて、次から次へとどツボの状態になるのである。
しかし、極限操作の実態はこの数列の行き先のことである。収束する数列だけ抜き出すとうまくいくが、発散する数列についてはそうではないのだ。
発散する数列、つまり無限大を取り扱うときにまず現れる問題が、数列の除算である。
無限大同士の比較
差で無限大を比較する。
単純な二つの数列{an=n}と{bn=n+(-1)n}を考える。
これらは発散する数列であるから、無限大を表す。
どちらの無限大(数列)が大きいと考えるべきであろうか?
数列を眺めると、nが偶数の場合、an<bnである。
nが奇数の場合、an>bnである。
nによって、大小が反転している。どちらが大きいとも決定することができない。
この例から、差で無限大を比較するのはそう単純にはいかないことがわかる。
それでは、比で比較しよう。とすると、数列の除算ができない問題にぶち当たる。
この例の場合は、項に0がでてこないので割り算して、その極限が1であること、二つの無限大は同じだとの評価が可能であるのだが。
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