xの関数f(x)と実数aに対し、f(x)はx=aで値をもっていても、もたなくてもよいが、x=aの前後では値が決まっているとする。
関数の極限の4パターン
関数の極限としては、下記の4パターンある。
- 極限値がある。
- 正の無限大に発散する。
- 負の無限大に発散する。
- 上記のいずれでもない(極限は存在しない)。
極限値がある(収束する)
aの両側のどちらからでもxがaに近づくとき、それに応じて関数値f(x)がある実数bに近づく場合。
「x→aのとき、f(x)の極限値はbである」といい、
\(\displaystyle \lim_{x \rightarrow a} f(x)=b\)
または、
\(\displaystyle x \rightarrow a のとき、 f(x) \rightarrow b\)
とかく。
ここで重要なのは、「どちらからでもaに近づく」つまり、aへの近づき方に関係なくf(x)がある実数bに近づくということである。
たとえば、7への近づき方としては、
- 8, 7.5, 7.1, 7.01, 7.003344, 7.000000222, 7.00000000001,…
- 6.5, 6.7, 6.8, 6.99, 6.9999, 6,999999, …
- 8,6, 7.5, 6.5, 7.2, 6,8, 7.1, 6.9, 7.05, 6.95, …
のように、いろんな近づき方がある。このどの近づき方であっても、f(x)がある値に近づくとするのなら、f(x)はx=aで極限を持つというが、もし近づき方によってf(x)が近づく値がかわってくるのであれば、これは極限は存在しない例となる。
例
\[f(x)=\frac{\sin{x}}{x}\]
とすると、このf(x)はx=0での値をもなたいが、xを0にどのように近づけてもf(x)はいつも1に近づいていく。
したがって、
\[\lim_{x\rightarrow 0} \frac{\sin{x}}{x}=1\]
である。
正の無限大に発散
aの両側のどちらからでもxがaに近づくとき、それに応じて関数値f(x)が限りなく増加する場合。
関数f(x)はx=aで正の無限大に発散するという。
単に、正の無限大のことを無限大と呼び、関数f(x)はx=aで無限大に発散するともいう。
例
\[f(x)=\frac{\cos{x}}{x^2}\]
とすると、このf(x)はx=0での値をもなたいが、xを0にどのように近づけてもf(x)は限りなく増加する。
これを
\[\lim_{x\rightarrow 0} \frac{\cos{x}}{x^2}=\infty\]
と書く。
負の無限大に発散
aの両側のどちらからでもxがaに近づくとき、それに応じて関数値f(x)が限りなく減少する場合。
関数f(x)はx=aで負の無限大に発散するという。
例
\[f(x)=\log{|x|}\]
とすると、このf(x)はx=0での値をもなたいが、xを0にどのように近づけてもf(x)は限りなく減少する。
これを
\[\lim_{x\rightarrow 0} \log{|x|}=-\infty\]
と書く。
極限は存在しない
収束もせず、(正であっても負であっても)無限大にも発散しない場合、極限は存在しないという。
例1
\[f(x)=\frac{2}{x-1}\]
とすると、このf(x)はx=1での値を持たないが、1への近づき方によって、正の無限大に発散したり、負の無限大に発散する。
このような場合、f(x)はx=1で極限を持たないという。
例2
[x]でx越えない最大の整数を表す。[ ]はガウス記号と呼ばれるものである。
f(x)=[x]は、言い換えると小数点以下を切り捨てる関数である。例えば、f(1.5)=1のようになる。
グラフは階段状となる有名な関数であるが、この関数はxが整数の場合極限をもたない。
x=aで関数値を持つ場合
上記の例では、x=aで関数値f(x)が定義されていない場合であったが、x=aで関数値f(x)が定義されていてもかまわない。
この場合、
\[\lim_{x\rightarrow a} f(x)= f(a)\]
となる場合もあるが、そうでない場合
\[\lim_{x\rightarrow a} f(x) \ne f(a)\]
もある。
数列の極限をつかって定義する
関数の極限は、数列の極限をつかっても定義できる。こちらのほうが形式的により厳密といえるが、意図していることは上記の定義と変わりない。
aに収束する任意の数列{xn}を考える。このとき、関数f(x)を使うと新しい数列{f(xn)}を考えることができる。
数列{xn}の取り方に依存せずに、{f(xn)}がある値bに収束するのであれば、関数f(x)はx=aで極限(極限値はb)をもつという。
ただし、この場合、数列{xn=a}である数列は除いて考える必要がある。
あくまでも、x=aの前後でどのような値に近づいているのかが極限の値なのである。
関数の極限値の求め方
一般に、極限がどうなっているのか判定するのは難しい。
直感的には、関数のグラフを書いて考えるのがわかりやすいし、極限の意味をよく表している。
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