複素数では正や負の概念がありませんが、符号という概念を拡張すると、複素数にも正や負と似た概念が適用できます。

まず実数の符号についての性質をつかい、それに似せて複素数の符号を定義します。

複素数の符号の一部として、正や負の概念を複素数に適用することができます。

この場合、例えば虚数単位\( i \)の符号はどうなってるのでしょうか?

 

 

実数の符号

ゼロは符号を考えない例外として、実数の符号は、プラスとマイナスの2種類がありました。

そして、実数から符号を取り除いた属性は、絶対値または長さと呼ばれていました。

実数xに対して、その長さは|x|とxを縦線で囲んで表します。

例えば、-2や2の絶対値は、

|-2|=2

|2|=2

となります。

符号部分が取り除かれて正の実数となります。

そこで、実数xに対して、x/|x|という量を考えます。

すると、x>0の時には、x/|x|は1

x<0の時には、x/|x|は-1と固定の値をとります。

この関数は、プラスの符号を持った実数を1に、

マイナスの符号を持った実数を-1に対応付けます。

これを符号関数とよび、複素数に対してもこの考えを適用することで

複素数の符号が定義できるのです。

 

複素数の符号の定義

実数の符号を真似て複素数に符号を定義するには、複素数の絶対値(長さ)が定義できればよさそうです。

長さが定義できれば、長さで割った部分が符号といえるからです。

複素数の長さの定義はいろいろと考えられるのですが、

これが、複素数の長さはこれしかないという

最適な定義があります。

まずは、これで複素数の長さを定義し、それから複素数の符号を定義します。

z=x+yi(x,yは実数)

で表される複素数があったとします。

この複素数zの長さ|z|を、

\( \displaystyle |z|=\sqrt{x^2+y^2}  \)

で定義します。

この定義が実にすばらしく、よく知られているように、

|z|≧0

|z_1||z_2|=|z_1 z_2|

といった性質があります。実数の絶対値のときと同じ性質を引き継いでいます。

よって、複素数zの符号返す関数を sgn(z) とすると

\( \displaystyle sgn(z)=\frac{z}{|z|} \)

で定義します。

 

これが、複素数の符号として、自然でふさわしいといえる定義です。

 

例題1 3-4iの符号

|3-4i|=√(9+16)=5

したがって

符号を計算すると

sgn(3-4i)
=(3-4i)/5
=3/5-4/5 i

これが符号です。

見ての通り、複素数の符号は複素数として表されます。

 

実数の符号である+と-を1と-1に対応させて表したように、符号は数値化して表すと便利です。

そして、この複素数の定義は、実数の符号の定義を拡張した定義となっています。

 

符号の絶対値は1

符号が数値化して表せているので、符号の絶対値を考えることができます。

それは定義からすぐにわかりますが、符号の絶対値は1になります。

逆にいうと、絶対値が1である数が符号とも言えます。

 

まとめ

  • 複素数の絶対値の定義から複素数の符号の定義ができる。
  • 実数の符号の拡張となるように複素数の符号を定義できる。
  • 実数の符号は2つであったが、複素数の符号は無限個ある。