アキレスや、トムソンの思考実験を発展させて作ったのが扇風機地獄である。
もちろん、理想的な思考の中での実験であって、扇風機とは回転する道具のシンボルである。
それでは、扇風機地獄の問題を説明する。
等速移動する扇風機
扇風機の位置は、最初0の地点にあり、そこから、プラスの方向に等速で移動する。
その速度は、1秒後には数直線の1の位置に到達する、つまり扇風機は秒速1で移動する。
扇風機の回転数
ところで、この扇風機の回転数であるが、これがあろうことか、加速するようになっていて、
1/2秒後には2回転する、そこから1/4秒後には4回転し、さらに次の1/8秒間でには8回転と前の時間の半分で、回転数が2倍になる扇風機である。
このことを式でかくと、
$$\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{2^k} 秒後までの回転数は、\sum_{k=1}^{n} {2^k}回転 $$
この扇風機は等速で移動しているので、1秒後に1の地点を通過するが、その時の扇風機の回転数は何回転しているであろうか。
無限大の回転がここで発生してしまうのだろうか。
1を超えた時点からもさらに回転数が2倍に加速するとして、2の地点に到達したときの回転数は?
叩き切られた数直線
扇風機の羽に刃がついていて、この扇風機の羽が回転しながら数直線を叩き切っていく(切断していく)。
扇風機の羽には刃がついてて、数直線を切断できるのであるが、最初の切断は、1/2の地点、次の切断点は、1/2と3/4の間に1回と、3/4の地点である。
つまり、(1/2,3/4]の間で2切断。
さらに進んで考えて、(3/4,7/8]の間で4切断、(7/8,15/16]の間で8切断、・・・と切断が続いていく。
さて、(0,1]の間でどれくらいの切断があるだろうか。また、(0,2]ではどうだろうか。半端ない切断数が起こり得るのだろうか。(1,2]の間の切断は、想像をこえる切断数がある、こう考えてよいのであろうか。
この(1,2]の間の切断状態を地獄と呼んでいる。想像できないくらいに切り刻まれてしまうことが予測されるから。
まとめ
扇風機地獄とは、アキレス地獄の発展問題である。二つの動きを関連つけることで、さらに無限に関する問題を提起した。
アキレスの動きが扇風機の動きに対応するので、刃物をもったアキレスが素早く通過点を切り刻みながら走っている例えと考えても同じである。
これは思考実験である。実験室はそれぞれの頭の中にある。他人の実験結果がどのような結果となっているのか、興味がある。
ちなみに、私の頭の中の実験室では未だに実験中であって、思うように実験結果が観測できていない状態だ。
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