足す順番を替えて無限級数の和を求めてみる

下記の二つの例でそれを確かめます。

(1)数列\(\displaystyle a_n=\frac{n+1}{n}-\frac{n+2}{n+1}\)
\(\displaystyle =\frac{1}{n(n+1)}\)
からできる無限級数

\(\displaystyle (\frac{2}{1}-\frac{3}{2})+(\frac{3}{2}-\frac{4}{3})+(\frac{4}{3}-\frac{5}{4})+…\)
\(\displaystyle =\frac{1}{2}+\frac{1}{6}+\frac{1}{12}+\frac{1}{20}+…\)

(2)数列\(\displaystyle b_1=\frac{2}{1},b_2=-\frac{3}{2},b_3=\frac{3}{2},b_2=-\frac{4}{3},…\)

からできる無限級数

\(\displaystyle \frac{2}{1}-\frac{3}{2}+\frac{3}{2}-\frac{4}{3}+\frac{4}{3}-\frac{5}{4}+…\)

 

上記の2つの無限級数の和をそれぞれ求めてみます。

 

 

無限級数\(a_1+a_2+a_3+…\)の場合

部分和Snを求めると、

\(\displaystyle S_n\)
\(\displaystyle =(\frac{2}{1}-\frac{3}{2})+(\frac{3}{2}-\frac{4}{3})+…+(\frac{n+1}{n}-\frac{n+2}{n+1})\)
\(\displaystyle =\frac{2}{1}-\frac{n+2}{n+1}\)
\(\displaystyle =\frac{n}{n+1}\)

 

よって

\(\displaystyle S_n \rightarrow 1 \,( n \rightarrow \infty) \)

となります。収束します。

無限級数の和-1
無限級数の和-1に収束していく

 

無限級数\(b_1+b_2+b_3+…\)の場合

この数列のnが奇数の時のSnを求めると

\(\displaystyle S_n\)
\(\displaystyle =\frac{2}{1}-(\frac{3}{2}-\frac{3}{2})-(\frac{4}{3}-\frac{4}{3})+…+(\frac{n+2}{n+1}-\frac{n+2}{n+1})\)
\(\displaystyle =2\)

となり、

nが偶数の時のSnを求めると

\(\displaystyle S_n\)
\(\displaystyle =(\frac{2}{1}-\frac{3}{2})+(\frac{3}{2}-\frac{4}{3})+…+(\frac{n+1}{n}-\frac{n+2}{n+1})\)
\(\displaystyle =\frac{2}{1}-\frac{n+2}{n+1}\)
\(\displaystyle =\frac{n}{n+1}\)
\(\displaystyle S_n \rightarrow 1 \,( n \rightarrow \infty) \)

となります。

したがって、Snは振動(発散)しています。

 

無限級数の和(振動)
無限級数の和(振動)

数列{bn}による無限級数の和は、奇数項までの部分和は2で、偶数項までの部分和は次第に1に近づくように振動する。

 

無限級数はカッコによって収束結果が変わる

このように、同じ様にみえる無限級数であっても、カッコがあるとないとで収束・発散が変わってしまうので、無限級数の和は、安易に足す順序を変更してはいけないと言えます。

カッコをつけるというのは、足す順序を変えているともいえます。

数列{bn}を連続する二つの項(2m-1項と2m項)を先に足しておいて、それから無限級数の和をもとめるとそれは、数列{an}の無限級数の和と同じになる。

無限級数の和は、かっこの有り無しで発散したり収束したりします。
カッコの付け方によって、別の値に収束値が変化する場合もあります。

[ad#foot]

まとめ

  • 無限級数の和の式にカッコをつけると収束・発散の結果が変わってしまう。
  • カッコの付け方で収束値が変化してしまう場合もある。
  • 収束が変化する有名な級数の例
    • 1-1+1-1+…+(-1)n+1+…  (振動)
    • (1-1)+(1-1)+(1-1)+… ⇢ 0(収束)
    • 1-(1-1)-(1-1)-… ⇢ 1(収束)