問題
(1) \(n\)を正の整数、\(a=2^n\) とする。
\(3^a-1\) は\(2^{n+2}\) で割り切れるが\(2^{n+3}\) で割り切れないことを示せ。
(2) \(m\) を正の偶数とする。
\(3^m-1\) が\(2^{m}\) で割り切れるならば、\(m=2 または 4\) であることを示せ。
解法に至るまでの過程
ぱっとみて、問題の意味自体は簡潔でそれほど難しくありませんが、どこから手をつけたらよいのかわからないです。
とりあえず、n=1,2,3あたりでどうなるのか試してみます。
n=1の時を考える
a=2, \(3^a-1=8=2^3\)ですから、
\(2^{n+2}\) で割り切れています。楽勝!
n=2の時を考える
a=4, \(3^a-1=80=5*2^4\) となって、
\(2^{n+2}\) で割り切れています。まあ、楽勝!
n=3の時を考える
a=8, \(3^8-1\) おっと、ここで\(3^8-1\) の計算が難しくなってしまいました。
ここで、3=2+1をつかって、二項定理してみます。パスカルの三角形つかって係数を出してみます。
\(3^8-1=(2+1)^8-1\\
=2^8+8* 2^7 + 28*2^6 + 56* 2^5 \\+ 70*2^4 + 56* 2^3 + 28* 2^2 +8*2^1\)
なんかいい感じです。2でたくさん割れるのはわかりました。
しかし、二項係数は共通項あまりでないし・・・。
帰納法つかうために、一工夫しなければなりません。
\(3^8=(3^4)^2\)を利用することを考えます。
すると、
\((3^4)^2 =(5*2^4+1)^2=5^2*2^8+10*2^4+1\)
\(2^5\) が因数にあることが読み取れました。
数学的帰納法で(1)は解けそうです。
(2)について
(2)は、きっと(1)の結果を使って解くに違いありません。これは、入試問題の鉄則です。(1)は大ヒントなのです。サービスです。(1)を利用する方法から(2)を考えます。
(1)の結果から、\(3^m-1\)は2で割り切れるものの、そんなにたくさんの2で割り切れそうにありません。感触的に、\(3^m\)は\(log_2 m\)の±αぐらいの範囲で丁度割り切れている感じです。うまいこと、不等式をつくって絞り込めば、m=2,4だけが残りそうな気がします。
あと、mは2以外の因数ももっていることを忘れてわなりません。この辺りが、難しそうな問題です。なんとか、2で割れる、割れないを判定できる式を見つけなければなりません。
指数\(m\)がなんともわかりにくいので、\(m=s2^t\)としておきます。もちろん\(s\)は奇数となるようにです。
\(3^{s2^t}-1\)が\(2^{s2^t}\)で割り切れるためのs,tを求めればよいわけです。
まず、じゃまなsが1であることを示しておきたいですね、そうすると(1)の結果を利用できます。
またまた検討がつかないので、s=3のとき、どうなるか調べてみます。難しいです、この問題。
\(3^{3 \cdot 2^t}-1= {(3^3)}^{2^t}-1=27^{2^t}-1\)
だめです、ちょっと、歯が立ちません。が、なんとなくこの式は(1)で扱った式に似ています。(1)と同じやり方でできそうなきがします。(1)の発展系のような問題とみなして考えます。
つまり、(1)の問題が\(a=s2^t\) に変わった場合と考えます。(1)は\(s=1\) の場合に相当します。
sがでてきていますが、(1)でやったのと同じ方法で、奇数sがあっても、\(3^{a}-1\)はちょうど\(2^{n+2}\)で割り切れることを、帰納法でそれを証明します。
本当に(1)がなければ、こんなこと思いつきません。(1)の命題はかなりのヒントです。
(2)を示す前の準備命題
「\(n\)を正の整数、\(s\)を正の奇数、\(a=s2^n\) とすると、\(3^a-1\) は\(2^{n+2}\) でちょうど割り切れる」これを示します。
これが示されたとして、問題のmをもとめるわけですが、\(a=s2^n\)が\(2^m\)で割り切れるためには、2の指数を比較して、
\( m \le n+2 \)でなければなりません。いま、\(a=m=s2^n\)でした。考えながら先を見通さず考えているので記号がごちゃごちゃしてきました。余裕があれば、解答つくるときに記号を整理したほうがよいと思います。ただし、時間との兼ね合いもあるので、自身がなければ、考えてる途中でつかったs,tを使ったほうが無難でしょう)。
さて、(2)は、結局\( s2^n \le n+2 \) となる \(n\)を求める問題になりました。まだ、\(s=1\)しかないことが示されていませんが、左辺は指数関数的に増えていきますので、sやnが大きくなれば、この不等式は成立しないことが示せそうです。
答えから逆に考えると、この不等式の解は、s=1,n=1,2しかないことになります。
なので、上記以外のs,nでは不等式が成立しないことをしめし、逆に、上記のs,nでは不等式が満たされることを示せば(2)の完成です。
m=2(s=1,n=1) → \( s2^n \le n+2 \)は、 \( 2^1 \le 1+2 \) となってO.K.
m=4(s=1,n=1) → \( s2^n \le n+2 \) は、\( 2^2 \le 2+2 \) となってO.K.
略解
証明問題なので、書き方なども採点されるとは思いますが、まず、数学的帰納法を用いてを証明します。
(1)については、数学的帰納法で示します。
(2)については、(1)の一般形の命題「\(n\)を正の整数、\(s\)を正の奇数、\(a=s2^n\) とすると、\(3^a-1\) は\(2^{n+2}\) でちょうど割り切れる」をnに関する数学的帰納法で示します。やりかたは(1)とほとんど同じ。これをつかって、素因数2の数を比較し、割り切れる条件からmを求めます(絞り込みます)。
数学的帰納法では、下記の式でn+1をnの形に落とし込めます。
\(3^{s2^{n+1}}-1\\
=(3^{s2^{n}})^2-1\\
=\{3^{s2^n}+1\}\{3^{s2^n}-1\}\\
=\{(3^{s2^{n}}-1)+2\}\{3^{s2^{n}}-1\}
\)
を利用します。
\( (3^{s2^n}-1) \)が2でちょうど何回割り切れるかを考えると、\( (3^{s2^{n+1}}-1) \)が2で何回わりきれるかわかります。
指数にさらに指数がついているので、計算しずらいですが、うまく文字に置き換えると計算間違いしないようにやります。計算間違いの心配がある場合には、途中途中で小さな数値を代入しながら、確認すると確実です。
この問題の場合、2でどれくら割り切れるのかを調べる問題ですので、2の指数だけを取り上げてみるのもわかりやすく書くための手です。
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