3次体の数はどのような構造になっているのだろうか。解の公式から3次体の構造に具体的に踏み込めるようになる。

目標

2次方程式の解の公式については既知として、その延長上の次の3次方程式の解の公式を導く。

\(x^3+ax+b=0  (式1)\)

となる\(x を係数 a,b\)を使って表す。

なお、2次方程式\(x^2+x+1=0\)の解の一つを\(w で表すこととする。\)

\(w=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\)としてよい。

まずは、解の公式を導く最短の手順を示す。

1.3次式の因数分解

コアとなるのは、次の因数分解の公式である。

\(x^3-3pqx-p^3-q^3\)
\(=(x-p-q)(x^2+p^2+q^2+px+qx-pq) \)
\(=(x-p-q)(x-wp-w^2q)(x-w^2p-wq)  (式2)\)

2.連立方程式の問題にする

(式1)と(式2)の係数を比較し、\(p,q\)を\(a,b\)で表すことができれば、(式2)の因数分解より解が求まる。

すなわち、3次方程式を解く問題が次の\(p,q\)に関する連立方程式を解く問題に変換された。
\[\left\{ \begin{align*} -3pq=a\\ -p^3-q^3=b \end{align*} \right.  (式3)\]

この連立を満たす\(p,q\)を一組でも求めることができれよい。

ここまでくると、ゴールは見えてくる。

3.\(p^3,q^3\) を求める

\(u=p^3,v=q^3\)とおくと、
\[\left\{ \begin{align*} -27p^3q^3=a^3\\
p^3+q^3=-b \end{align*} \right. \]
から、

\[\left\{ \begin{align*}
uv=-\left(\frac{a}{3}\right)^3\\
u+v=-b \end{align*} \right. \]

\(u,v\)を解にもつ2次方程式は、
\(x^2+bx-\left(\frac{a}{3}\right)^3=0\)

これを2次方程式の解の公式で解く。

\(u,v,p,q\)の対称性から、

\[p^3,q^3=u,v\\
=-\frac{b}{2}±\sqrt{ \left(\frac{b}{2}\right)^2+\left(\frac{a}{3}\right)^3 } \]

4.\(p,q\) を求める

\(u=p^3,v=q^3\)の3乗根から、\(p,q\)をもとめる。
それぞれ\(u,v\)の3乗根は3個ずつあるが、\(-3pq=a\)となるように\(p,q\)を選んで、その一組を
\(\sqrt[3]{u},\sqrt[3]{v}\)と表す。

なぜ、\(-3pq=a\)という条件がついているかの説明は、解の公式にでてくる3乗根を参照

5.解の公式

上記の\(\sqrt[3]{u},\sqrt[3]{v}\)をつかって、3次方程式が次のように因数分解できた。

\(x^3+ax+b\)
\(=(x-\sqrt[3]{u}-\sqrt[3]{v})
(x-w\sqrt[3]{u}-w^2\sqrt[3]{v})
(x-w^2\sqrt[3]{u}-w\sqrt[3]{v})\)
から

\[x=\left\{\begin{align*}
\sqrt[3]{u}+\sqrt[3]{v}\\
w\sqrt[3]{u}+w^2\sqrt[3]{v}\\
w^2\sqrt[3]{u}+w\sqrt[3]{v}
\end{align*}\right.\]


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