解析でよく極限値を求めることがあるが、極限を求めるときに実は2種類ある。それは、
$$ \lim_{x→0} f(x) と  \lim_{x→∞}f(x) $$

いつもは、両者とも極限を表す式である。

\(y=1/x\)とおいて、\(+0\)の記号を使えば、\[ \lim_{x→∞} f(x) = \lim_{y→+0} f(y) \]と変形できる。

\(+0\)を使わざるを得なかったのは、\[ \lim_{x→∞} f(x) と、 \lim_{y→0} f(y) \]が式として同じでないところからであって、\(x→∞\)は通常のすなわち \(\lim_{x→0} f(x)\)タイプの極限と意味が異なっているからである。

とはいえ、\(+0\)は実数0への近づき方を制限されているという違があるものの、xの近づく先は0である。そう考えると、$$ \lim_{x→0} f(x) と  \lim_{x→+0}f(x) $$は似ている。xがある実数に近づく極限という意味で。

ところが、∞は実数でなく、∞に近づくという言い方は感覚によるものだ。同じ極限の記号をつかっているが、xが目標としている先が実数かそうでないかの違いがあるため、これらの極限の意味は別物である。

近づくというのは、幾何学的な概念である。0に近づくというのは距離が短くなっていくことであるが、∞というなんなのかよくわからいものに近づくというのは、幾何学的には無理があるのである。自然数が無限に大きくなるという概念と、自然数が無限大に近づくという概念とは別である。自然数は限りなく大きくなるが、∞に近づくということはできない。あえて解釈するのなら、自然数が0から限りなく遠ざかることを∞に限りなく近づくといってるわけである。自然数が∞と距離をいくらでも小さくすることは不可能であるから近づくことはできない。

なにげに極限を求めるときに使っている∞であるが、実はこの極限値を求めるときに使われる∞はかなり制限された意味での∞である。

つまり、こういった極限の問題が出た場合は、xに自然数1,2,3,…のような発散する数列を考え、数列{f(1),f(2),f(3),…}の極限値を求めればよいのであるが、それは自然数が∞という数に近づいたときの極限ではなく、0から遠ざかったときの極限である。

まとめ

$$ \lim_{x→∞}f(x) $$は、\(x\)が\(∞\)に近づいたときの極限ではない。\(x\)が\(0\)から(正の方向に)遠ざかったときの極限である。