無限大は比較可能か?

無限大にもいろいろある。無限大の中にもより大きな無限大、より小さな無限大がある。こういった感覚がわからないではない。しかし、よくよく考えてみると無限大を通常の数のように扱うのは危険であることがわかる。

二つの数列\(a_n=n,b_n=n^2+1\)の極限を考える。

(極限値A)\[ \lim_{n→∞}a_n= \lim_{n→∞} n → ∞ \]

(極限値B)\[ \lim_{n→∞}b_n= \lim_{n→∞}(n^2+1) → ∞ \]

どちらも、極限値は無限大に発散する。同じ発散するのであるが、極限値Bの方が極限値Aより大きいな無限大と考えて良いのであろうか。もしくは、そう考えることは妥当であろうか。

原点に帰って考えると、どちらも無限大に発散するので、比較することはできないが、例えば、二つの数列の差や比をとった数列を考えて大きさを比較できそうである。

この場合、

\[ \lim_{n→∞}(b_n-a_n)=\lim_{n→∞} (n^2+1-n)→ ∞ \]

\[ \lim_{n→∞}(b_n/a_n)=\lim_{n→∞}(n^2+1)/n→ ∞ \]

であることがわかるから、数列\(b_n\)のほうが、数列\(a_n\)より大きい数列とみなすことができる。

しかしだ、数列の大きさと、その極限値の大きさは別物である。二つの数列を比較しているのは、大きくなる度合いを比較しているだけであって、極限値を比較しているわけではない。どちらの数列も限りなく大きくなる数列である。任意の自然数Nをもってきたとしても、\(N\lt a_n\)となるnは存在するし、\(N\lt b_m\)となるmも存在する。nやmが同じとは限らないがどちらも発散する数列であるからには、いくらでも大きくなり得るのである。

\( \lim_{n→∞}a_n\lt \lim_{n→∞}b_n \)としてはいけないのか?

いけないわけではない。そういった定義づけも有意だと思われる。しかし、考え方はそれだけに限定されるわけではないということだ。

任意のnに対して、\( a_n \lt b_n \)であっても、発散する極限値に対しては

\[ \lim_{n→∞}a_n \le \lim_{n→∞}b_n \]

と等号を追加してもよいのかどうかすら無条件に認めるわけにはいかないのである。

\[ \lim_{n→∞}a_{n^3} – \lim_{n→∞}b_n \]といった数列で二つの数列を比較することを否定するためには比較とはなにかといった議論も必要になってこよう。

差をとる?比をとる?

続きは、無限大の比較は可能か?に引き継ごう。