次の二つの数列を考えます。
\[a_n=2^n\]
\[b_n=250n+750\]
どちらの数列も無限大に発散する数列です。
さて、同じ無限大に発散する数列ですが、どちらの無限大が大きいでしょうか?
発散する数列の比較
上記の二つの数列{an}と{bn}の差や比を取ってみます。
{an-bn}は無限大に発散しますね。
同様に、{an/bn}も無限大に発散します。
同じ無限大に発散する数列ですが、{an}の方が{bn}よりもより大きい無限大に発散しているのでしょうか?
さて、さらにある意味もっとも単純とかんがえられる無限大に発散する数列
\[c_n=n\]
を考えます。
{bn-cn}は無限大に発散しますね。
しかし、{bn/cn}は250に収束します。
数列{bn}は{cn}よりも250倍大きい無限大に発散しているといえるのでしょうか?
無限大に収束するとは
乱暴ないいかたですが、発散するとは、別の言い方をすると、無限大に収束するということです。
ただし、収束といっても普通の収束する数列のように距離がどんどんせばまっていくらでも小さくできるというわけではありません。そもそも数列のある項と無限大の距離なんでありません。
ここで、実数直線を開区間(-1,1)に埋め込むことを考えてみてください。実数直線でなく、開区間(-1,1)のなかで、数列がどのように動いているのかを考えるのです。すると、無限大に発散する数列は、いずれも開区間(-1,1)のなかで観察すると、1の地点に近づいていきます。そして、限りなく近づきます。
数列{an}、{bn}や{cn}を開区間(-1,1)に埋め込んでどのような動きになるかを考えます。
\[f(x)=\frac{x}{1+|x|}\\]
で数列{an}を写すと、数列{f(an)}ができます。
このとき、
\[f(a_n) →1 \; (n→∞)\]
です。
数列{f(bn)}や数列{f(cn)}どれも1に収束していきます。こういう風に開区間(-1,1)に埋め込んで数列の動きをみると、無限大に発散する数列は1に収束します。
どの数列も、1への近づき方が違うだけで1に収束します。当たり前ですが、1を飛び越えたりはしません。
ということは、無限大に発散する数列は、ある意味、無限大(∞)に収束するといえます。
数列の差や比からできる数列は、単に収束への仕方の違いを表しているだけです。
まとめ
- (正の)無限大に発散する数列は、すべて無限大に収束すると考えることができる。
- 無限大に発散する数列の差や比からできる数列は、無限大への近づき方を表しているだけで、より大きい無限大、より小さい無限大に発散するわけではない。
- 無限大に収束するという考え方では無限大同士を比較してもより大きい無限大、より小さい無限大という無限大は存在できない(存在したら収束するという意味がなくなる)。
- あえて言うと、無限大同士を比較した場合、それらはすべて同じ無限大である。
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