ベルトランの逆説から無作為の多様性を知る

ベルトランの逆説とは

円に内接する正三角形を考えます。つぎに、円の弦を一本無作為に選びます。この弦の長さが内接した正三角形の一辺より長くなる確率を求めます。

実は、この確率は一定に定まらないというのがベルトランの逆説です。求め方(考え方)によって、計算される確率が変わってくるのです。

ウキペディアで紹介されていますが、そのこで求められている確率は、

  1. 1/3である。
  2. 1/2である。
  3. 1/4である。

と3通りの確率の計算例が載っていて、そのどれもあっています。

同じ問題に対して答えが3通り(以上)あるというのがベルトランの逆説です。

 

無作為について考える問題

無作為とかランダムというのは、一見単純な概念のように見えますが、定義するのはかなり難しい概念です。無限と同じように、突き詰めていくとなんらかの規則があって、無作為、ランダムと言い切れなかったり、この逆説のように異なった結論が生まれてきます。

無作為に選んだ自然数が偶数である確率、無作為に選んだ点が有理数である確率、この無作為という言葉の裏にはなんらかの均一性(一様性)があるように思えます。

ベルトランの逆説は、どこにこの一様性をもってくるのかで結果がずれていったわけです。

 

長さは伸び縮みする

確率を計算するときに、長さ(や面積)の比で計算することがあります。

長さとは、伸び縮みするもので、長さの比はこれまた伸び縮みします。

長さの比で確率を計算すると、伸び縮みし、あるときには1/4、あるときには1/3、あるときには1/2とずれがでてきます。

ベルトランの例題での確率は、たまたま有理数の確率でありましたが、長さで計算する限り、考え方によって、たとえば√3/2のような無理数の確率もひねり出せそうです。

幾何学的な量、つまり距離(長さ)でなにかを測定する場合、距離の定義によって長さが伸び縮みします。

ということは、距離の定義を変更するれば、それに基づいて計算された確率も変動することになります。

一様に分布しているといっても、ゆがんだ空間でみて一様なのかもしれません。

確率分布関数も、矛盾なく伸び縮みできます、「無作為に」というときには、どこが一様になっているのかを明示しないと、いくらでも異なった解釈が生まれてくるわけです。

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コメント

  1. Estar Aqui より:

    このパラドックスは無限について人間は解明できていないことに起因します。
    例えば線は点が集まって出来たものでは無いという事です。
    通常確率で表すことが出来るのは有限の因子についてです。
    無限の因子については確率どころか四則計算さえ出来ません。
    但し概念上こういう事にしておきましょうはできます。
    簡単に説明します。
    △ABCがあるとします。
    頂点Aを上に置くと辺BCは下にきます。
    今ここで頂点Aから辺BC上の任意の点Fと結ぶ線を引いた時、
    頂点Aからの垂線より右側にくる確率は?という問いがあったら。
    頂点Aからの垂線と辺BCの交点をGとすれば、
    通常は辺BCにおいてBG:GCの比を基に答えを導く。
    もちろん義務教育的な数学ではこれで正解である。
    しかしベルトランのパラドックスの謎を解き明かすために
    別の考え方を示しましょう。
    頂点Aから辺BC上の任意の点Fを結ぶ線分AFを
    BG上に引ける数とGC上に引ける数を比較してみましょう。
    まずBG上に任意の点Fは無限に置くことが出来ます。
    またGC上に任意の点Fはこれも無限に置くことが出来ます。
    ということはそれぞれに引くことのできる線も両者無限に存在するという事です。
    つまりその比は無限:無限という事になる。
    言っている事が分からないと言うと思います。
    では、この辺BCに対して平行線を引きます。
    仮にその平行線が△ABCと交わる所にあるとします。
    そして△ABCとの交点を辺AB上はD、辺AC上はEとします。
    すると共通の頂点Aを持つ相似の△ABCと△ADEが出来ます。
    そして辺BCと辺DEは平行です。
    今頂点Aから辺BC上の任意の点Fを結ぶ線AFを引いたとしましょう。
    そして線分AFと線分DEの交点をHとします。
    辺BCと辺DEの長さはBC>DEとなります。
    しかし任意の線AFにおいて点Fと点Hは一対一対応しています。
    任意に点Fを取っても任意に点Hを取っても過不足なく必ず一対一対応になります。
    つまりは取り得る点の可能性は点Fと点Hは一対一対応しており等しいという事です。
    線分の長さが違うのに任意に取り得る点の可能性は等しいという事です。
    これは最初に述べた無限については人類は解明できていないという事です。
    ベルトランのパラドックスで言うと
    同様に引くことの出来る線の可能性は無限:無限になるのです。

    線分の長さは違うが取り得る点の数は無限で一対一対応していれば濃度が等しいと言います。

    • 猫野 流星 より:

      訪問ありがとうございます。
      そして、詳しい説明をありがとうございます。

      「線は点が集まって出来たものでは無い」について私も同意です。

      そして、点の数、三角形ABCの頂点からの線の数で確率を求めようとすると、
      無限同士の比較(無限:無限)になって確率を定義できないこともよくわかりました。

      線分の長さと、線分上の点の数は全く関連がないと思いますが、
      ここをうまくぼやかして、パラドックスを作り出した例とも言えますかね。

      パラドックスのからくりとしては、
      無限:無限を
      1:1にみせかけたり、1:2に見せかけることで
      パラドックスを生み出してるのだと思いました。

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