有限集合の例はたくさんあります。
簡単な例をあげます。
有限集合は、列挙することが可能な集合です。
(1)
{赤、黒、黄、オレンジ、白}
これは色の名前の集合です。5個の元(要素)からなる集合です。
元(要素)の数が数えられるので有限集合です。
(2)
{水星、金星、地球、火星、木星、土星}
これは、惑星の名前の集合です。6個の元(要素)からなりますから、有限集合です。
(3)
{1, 2, 5, 10, 25, 50}
50 の約数の全体からなる集合は有限集合です。約数が6個(有限)しかないからです。
50 の約数の全体からなる集合は、{x|xは50の約数}という書き方もできます。
この書き方だと集合の元(要素)の数が直接わからにので、有限集合かどうか判別つきません。
しかし、ここでは、50の約数をすべて求めることができたので、有限集合であることがわかります。
(4)
空集合
記号では、∅がよくつかわれます。
これはギリシャ文字で、ファイと読みます。
{}もよく使われます。
なにも元(要素)をもっていない集合も、有限集合として考えます。
空集合の元の個数は0個です。
(5)
中学校のクラスの生徒の集合
これも実際に数えることはできませんが、クラスの人数、学校の数、学年の数に限界があるので、全部かけ合わせたとしても有限です。
学校名と生徒名を組合せた名前で列挙できるはずですが、ここに書きあわわすことはできません。
でも、考える限り有限集合になるはずです。
(6)
今現在のあなたの髪の毛の集合
{x|xは、あなたの髪の毛}
髪の毛を抜くわけにはいきませんし、抜いたとしても、数えることは難しいですが、
有限集合になるはずです。
髪の毛の本数は数えられるはずだから。
現物は、名前がついてないので、集合として書きあらわすことが難しいです。
有限集合かどうかの判定
有限集合かどうか判定するには、元(要素)の個数を数えるのが一番確実です。そのためには、元(要素)をすべて列挙する必要があります。
そもそも、集合の元(要素)がすべて列挙されてるという段階で、数えなくても有限集合であることがわかります。
問題は、列挙されていない場合です。
列挙されていない場合には、列挙できないかを考えます。
列挙することができなくても、なんらかの有限集合に含まれていることがわかれば有限集合です。
有限集合の部分集合は有限集合だからです。
たとえば、{x|xは50の約数}が有限集合かどうか、約数をすべて求めて数えましたが、
約数の性質を考えると、50の約数は、1から50の間の自然数しかないため、
それは、{x|xは1から50の間の自然数}の部分集合であることがわかります。
{x|xは1から50の間の自然数}は50個の元(要素)を持っているので有限集合です。
有限集合でない集合の例
有限集合でない例を知っておくと、有限集合の事がよくわかりますので、例をあげます。
(1)
偶数全体(の自然数)
{x|xは自然数で2で割り切れる}
{2,4,6,8,10,…}
2の倍数の自然数はいくらでも存在して数え切れないので有限集合ではありません。
無限集合となります。
(2)
実数全体
{x|xは実数}
代表例だけでも、たくさんありすぎて、列挙しずらいですが思いつくのを書くと
{-0.5、 3.1、 9.999、 12.345、 1/3、 √5、 2.71、…}
元(要素)は無限にあります。
有限集合でべき集合を求める例
べき集合(冪集合)という集合があります。
{A、B、C}という3個の要素を持った有限集合の冪集合を求めてみます。
べき集合の個数は公式があって、3個の要素の有限集合の冪集合は、
23個つまり、8個の要素の集合になることが知られています。
べき集合とは部分集合の全体の集合の事です。
{A、B、C}の部分集合を全部もとめて、それを要素にして集合を作ります。
集合が要素になっている集合ですから、集合の集合と呼ばれる集合です。
空集合も特別な部分集合として含めて考えます。
{A、B、C}の部分集合を以下に並べます。
{}(空集合、∅と書くこともある)
{A}
{A,B}
{A,C}
{A,B,C}
{B}
{B,C}
{C}
これだけあります。
これをひっくるめて、
{{}、{A}、{A,B}、{A,C}、{A,B,C}、{B}、{B,C}、{C}}
が
{A、B、C}のべき集合となります。
有限集合に対しては個数ば爆発的に増えるものの、列挙することができるので、簡単ですが、
無限集合のべき集合となると、これは手強いです。
ただでさえ、列挙することができない無限集合ですが、それよりさらに爆発的に要素数が多いので、
どうかいたらよいのか戸惑うほどです。
まあ、工夫すればかけなくともありません。
集合Sの冪集合は、
{T|TはSの部分集合}
とおくと、これがSののべき集合になります。
もちろん、Sが無限集合の場合は、Sのべき集合も無限集合となります。
有限集合の時をまねて、その個数を
2|S|と書くこともありますが、これは形式的です。
Sが有限集合の場合には|S|がある自然数になりますので、これは意味をなしますが、
Sが無限集合の場合には、意味をなしません。
なお、べき集合も集合であることには違いないので、
べき集合のべき集合という集合を考えることは可能です。
{∅、{A}、{A,B}、{A,C}、{A,B,C}、{B}、{B,C}、{C}}
のべき集合は、28=256ですので、256個の要素をもった集合になります。
どんな感じか、さわりだけ書いておきます。
{
∅、
{∅、{A}}、
{∅、{A}、{A,B}}、
{∅、{A}、{A,B}、{A,B,C}}、
{∅、{A}、{A,B}、{A,B,C}、{B}}、
…
}
こんな感じです。
区切りがわかりやすいように、改行しています。