代数体\(\mathbb{Q}(\sqrt{-5})\)は、類数が1でない代数体の例です。
代数体Q(√(-5))の性質
整数環
\(\mathbb{Q}(\sqrt{-5})\)の整数環\(\mathfrak{o}\)は、
\(\mathfrak{o}=\mathbb{Z}(\sqrt{-5})\)
です。
整数基として、\(\{1,\sqrt{-5}\}\)をとることができます。
すなわち、
\(\mathfrak{o}=[1,\sqrt{-5}]=\mathbb{Z}+\mathbb{Z}\sqrt{-5}\)
\(\mathbb{Q}(\sqrt{-5})\)の判別式は、\(-20\)です。
整数環は素因数分解の一意性が成立しない
\(\mathbb{Z}(\sqrt{-5})\)は素因数分解の一意性が成立しない環です。
それは、6の素因数分解でわかります。
\(6\\=2・3\\=(1+\sqrt{-5})(1-\sqrt{-5})\)
と2通りに分解されます。
整数環は単項イディアル環でない
\(\mathfrak{q}=(2,1+\sqrt{-5})\)
は単項イディアルでない例となります。
有理素数\(p\)の分解について
\(p\)を有理素数とする。
\(p=2,5\)の場合
\((p)=\mathfrak{p}^2\)と素イディアルの平方と表されます。
すなわち、分岐します。
具体的には、
\((2)=(2,1+\sqrt{-5})^2\)
\((5)=(\sqrt{-5})^2\)
です。
\(p≡1,9 (\mod 20)\)の場合
\((p)=\mathfrak{p}\mathfrak{p’}\)
と相異なる素イディアルに分解します。
この時、
この時、\(\mathfrak{p}\)は単項イディアルです。
これは、
\(p=a^2+5b^2\)
となる有理整数\(a,b\)が存在することと同値です。
例
\(29=3^2+5\cdot2^2\)
\(41=6^2+5\cdot1^2\)
\(p≡3,7 (\mod 20)\)の場合
\((p)=\mathfrak{p}\mathfrak{p’}\)
と相異なる素イディアルに分解します。
この時、\(\mathfrak{p}\)は単項イディアルではありませんが、
\((2,1+\sqrt{-5})\mathfrak{p}\)は単項イディアルになります。
これは、
\(2p=a^2+5b^2\)
となる有理整数(\a,b\)が存在することと同値です。
例
\(2\cdot3=1^2+5\cdot1^2\)
\(2\cdot7=3^2+5\cdot1^2\)
\(p≡11,13,17,19(\mod 20)\)の場合
\((p)\)は素イディアルです。
このイディアルは分解しません。