複素数は、二つの実数\(a,b\)を使って\(a+bi\)の形で表すことができます。
ここで、\(i\)は虚数単位で2乗すると-1になる数(の中の一つ)です。
つまり、\(\displaystyle i^2=-1\)
ここで\(a\)の部分をその複素数の実数部分(実部)、(\b)の部分を虚数部分(虚部)と呼びます。
また、虚部の符号を変えた\(a-bi\)を\(a+bi\)の共役複素数と呼びます。
虚部が0の複素数だけを集めると、それは実数と同一視できますので、複素数は実数を含んでいると考えることができます。
複素数の計算
二つの複素数が等しいための条件
\(a+bi\)と\(c+di\)が等しいための必要十分条件は、
\(a=c, b=d\)
です。
すなわち、実部と虚部がそれぞれ等しいときに限って、二つの複素数は等しい(同じ)とします。
二つの複素数の足し算(和)
\((a+bi)+(c+di)=(a+c)+(b+d)i\)
すなわち、実部、虚部のそれぞれを足して和を作ります。
二つの複素数の引き算(差)
\((a+bi)-(c+di)=(a-c)+(b-d)i\)
すなわち、実部、虚部のそれぞれを引いて差を作ります。
二つの複素数の掛け算(積)
\((a+bi)\cdot(c+di)=(ac-bd)+(ad+bc)i\)
普通の文字式を展開するように計算します。\(i^2\)がでてきたら\(-1\)に置き換えます。
二つの複素数の割り算(商)
\(\displaystyle \frac{a+bi}{c+di}=\frac{ac+bd}{c^2+d^2}+\frac{bc-ad}{c^2+d^2}i\)
共役複素数をつかって、有理化することができます。
\(\displaystyle \frac{a+bi}{c+di}=\frac{a+bi}{c+di}\frac{c-di}{c-di}=\frac{(a+bi)(c+di)}{c^2+d^2}\)
複素数の極座標表示
0でない複素数は、正の実数\(r\)と、「偏角」と呼ばれる\(\theta \)で次の形で表すことができます。
\(r\)の事は、「長さ」または「大きさ」と呼びます。
この表示方法を極座標表示と呼びます。\(¥theta\)の範囲を限定すると、この形式の表し方は一意にすることができます。
極座標表示に対し、実部と虚部に分けて書く方法を座標表示と呼びます。
\(\displaystyle a+bi=r(\cos \theta + i \sin \theta)\)
\(\displaystyle r=\sqrt{a^2+b^2}=\sqrt{(a+bi)(a-bi)}\)
\(\displaystyle \cos θ=\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}\)
\(\displaystyle \sin θ=\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\)
極座標を使うと複素数の掛け算や割り算が楽に計算できます(その代わり和や差の計算は複雑になります)。
それは、複素数の「積や商」の計算が、大きさの「積と商」と偏角の「和と差」に分解できるからです。
また、共役複素数を自身に掛けると長さの2乗が計算できます。
それの平方根をとると、長さが計算できます。
\(\displaystyle a+bi=r(\cos \theta + i \sin \theta)\)とすると、
\(\displaystyle r=\sqrt{(a+bi)(a-bi)}=\sqrt{a^2+b^2}\)
極座標形式での積と商
\(\displaystyle (r_1(\cos \theta_1+i\sin \theta_1))(r_2(\cos \theta_2+i\sin \theta_2))\\
\displaystyle = r_1 \cdot r_2 \left(\cos (\theta_1+\theta_2)+i\sin (\theta_1+\theta_2) \right)\)\(\displaystyle \frac{r_1(\cos \theta_1+i\sin \theta_1)}{r_2(\cos \theta_2+i\sin \theta_2)}\\
\displaystyle =\frac{r_1}{r_2} \left(\cos (\theta_1-\theta_2)+i\sin (\theta_1-\theta_2) \right)\)
ド・モルガンの定理
積の公式を繰り返し使うことで有名がド・モルガンの定理が証明できます。
\(\displaystyle \left(r(\cos \theta+i\sin \theta)\right)^n\\
\displaystyle =r^n \left(\cos (n \theta)+i\sin (n\theta) \right)\)
n乗根
\(n\)個ある\(n\)乗根もキレイな形で表すことができます。
\(\displaystyle \left(r(\cos \theta+i\sin \theta)\right)^{1/n}\\
\displaystyle =r^{1/n} \left(\cos (\frac{\theta+2k\pi}{n})+i\sin (\frac{\theta+2k\pi}{n}) \right)\)\(k=0,1,\cdots,n-1\)
通常ここでの\(n\)は自然数ですが、この公式を定義式に応用すると、\(n\)が実数の場合の\(n\)乗根が定義できるようになります。
\(n\)が一般の実数とした時に、ちょっと注意したいのは、\(k=0,1,\cdots,n-1\)と有限に収めることができない場合があります。その場合には、kが全ての整数を取ることになります。
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