素数との出会い
小学校の5年生のときに素数をならった覚えがあります。その時の授業はかなり印象的でした。
今振り返ると、考える授業といってもよいと思う授業でした。不思議だったのです。
5年のあるとき、先生が突然素数をもとめる授業を行ったのです。素数なんて言葉はでませんでした。わたしはその言葉は、中学にはいってから知りました。しかし、その5年のその授業は素数の話でした。どんな授業だったのかというと、数字を小さい順いかいていって、約数があるかどうかを質問し、約数がある数を消していく(斜線で消す)のです。なんのためにやっているのかその時はわからなかったのですが、ある数の約数があるのか、ないのかを先生が質問するたびに、その答えが即座にわかったのがうれしかったと記憶しております。
実は、その授業はOHP(オーバーヘッドプロジェクション)をつかって行われた授業だったのです。黒板をつかわずに、OHPに数字をかいて、約数のある数を斜線で消すという内容の授業だったのです。
約数のない数、つまり素数、が斜線で消されずに残っていました。
なんのために、そんなことをやったのか、わかりません。今から考えると、それはOHPをつかって適当に考えた先生の趣味の授業としか思えません。
単純に自然数をかいて、約数のある数を斜線で消していくだけ。それだけです。そして、時間がくるやいなやその授業はなんの解説も目的もしめされることなく終わりました。そのOHPのシート授業が終わるやいなや、捨て去れれました。
算数の最初の難関は掛け算
算数を勉強していたときのことを思い出して見ますと、最初に躓いたのは掛け算でした。
暗記苦手の私は、九九でつまづきました。掛け算の計算もおそろしく遅かったです。
やり方はわかっているつもりでしたが、とにかく間違えるのです。
算数ドリルが毎日宿題となっていましたが、なにせ問題を解くのが遅くてなかなか続きません。
漢字ドリルに比べたらマシな方でさらに、、九九は苦手ながらもなんとか覚えようというやる気があったので、ほんとうに、いろいろな工夫をし、努力しながら覚えていきました。
私の場合、分数の計算よりも掛け算九九の暗記で苦労しました。
掛け算は難しくない概念
小学一年生の算数で足し算を習います。
小学二年生の算数で掛け算をならいます。
掛け算は足し算の繰り返しとして習いますが、掛け算の勉強というとかけ算九九の暗記です。
そして、その九九をつかって2桁以上の数の掛け算ができるように特訓します。
掛け算自体はそれほど難しい概念でないです。もし難しいと思うのであれば、お店に行っていろいろ買い物をし、料金について考えるのがベストです。すぐに掛け算の概念が身につくはずです。
九九はできるだけ早くマスターすべし
九九の暗記は大変です。語呂あわせで覚えていく方法につきますが、何ヶ月もかかりました。
2の段、3の段ぐらいで壁にぶち当たります。
暗唱するだけでは、なかなか覚えられないので、書いたり、表をトイレに貼って読み合わせたり、まあ相当の苦労です。しかし、ここの努力が後々、数のしくみを知る上で役になってると実感します。
私は、単に覚えるだけでなく、数がどのように分布しているのかにも注目して、「なんでも規則」をたくさん見つけました。
なんでも規則の例をあげると、九九の5の段をみると、一の位は5か0である。こんな感じです。
なんでも規則とは、自分で発見した規則のことです。一般的な規則でもなくてよいのです。自分で作り出す、これが楽しいと思うのであれば、数学を勉強することも楽しいと思えるはずです。
九九の表をにらみながら、規則ともいえない規則を考えては自分のものになっていくことがかなりの思考訓練になっていたと思います。
交換の法則など掛け算の規則を確認する
ともかく掛け算を覚えるために、いろいろな手を使います。
交換の法則は便利というか、当然のように使います。7×4がわからない場合は、4×7から答えを思い出す。
7の段あたりはなかなか苦戦です。私が最後に覚えられず最後に残った段は7の段でした。
単に九九を暗記するだけでなく、九九の表からいろいろ考えることがすごく大事になるのです。
掛け算は、●×▲=■の形をしています。
2の段であれば、●は全部2です。そして、▲は2から順に9まで並んでいます。
九九の表をみれば、●や▲は規則正しくならんでいることがわかります。
あたりまえといえば当たり前ですが、小学生の頃はそんなこと当たり前だとは思っていません。
逆に、なぜ規則的に並べているのだろうとか、1の段がなんでないのだろう、まあ、ともかく算数の初歩の段階ではそんなものです。
そして、■の列の規則をみつけます。■の列は2の段であれば、2を次々に足しているのです。
この規則がわかれば、九九はなんとか自力で暗唱できるようになります。
掛け算九九の表は、■の部分だけを表にして覚えればよいことに気が付くまでにはかなりの時間を要しますが、最初からこのやり方を教えると本当に数列の暗記だけの学習となるので、そこは注意が必要です。自分で考えた結果、この■だけ書かれた表と九九の対応を把握するまでの過程が大事だからです。
掛け算の逆を考えると数の素(もと)がわかるはず
掛け算を演算としてみた場合、その逆は割り算です。
割り算は、常に割り切れるわけではありません。
割り切れる場合だけの割り算を考えるのが、ここでいう掛け算の逆を考えるという意味です。
割り切れる場合だけを考える割り算は、割り算の特殊な場合と考えるよりは、数を掛け算で分割していると考えることができます。すなわち何等分できるかという問題です。
足し算のときは、ある数を二つに分解することはわりと簡単です。たとえば足して6になるような二つの数は、1+5、2+4,3+3,4+2,5+1とたくさんありますが、それは規則正しく並べることができますから、もれなく全てのパターンを示すことが簡単にできます。
ところが掛け算をつかって二つの数に分解することは、そう簡単はありません。九九を暗記していれば即座に答えられる場合もありますが、3桁、4桁にの数になると簡単に掛け算で分解することができないと思います。
ここから、掛け算の面からみた整数の神秘的な構造に一歩踏み込んでいけるのです。
二つの数を掛けて24になる数を求めよという問題があったとします。
九九の表で、24は、3×8、4×6、6×4、8×3と4箇所にでてきますから、九九を暗記していれば、この4つの答えは即座にでてくるはずです。逆に、九九を覚えてなければ、これは根気のいる問題です。
ですが、2×12も24ですから、これも掛けて24になる数のペアといえます。九九の表以外の答えもあるわけです。
わりと小さな数24から、このような数の構造を身に着けていくと、掛け算から数を分解する概念が導かれるはずなのです。
いろいろな数を分解していると、なかには掛け算で分解できない数があることがわかります。13などがそうです。
二つの数を掛けて13にすることはできません。
もちろん、1を使えば1×13=13とできますが、これは1の特性からくる式であって、この式を掛け算で分割したと考えるのは逆に不自然だと気がついたら、かなり数の性質に馴染んでいるといえます。
果たして、いまさら説明するまでもないことですが、この掛け算で分解できない数が素数に他なりません。
素数の例は、2、3、5、7、11、13、17、・・・たくさんあります。
そして、掛け算によって数を分解することを素因数分解といいます。
素数の例はすぐにいくつか挙げることはできますが、いくらでも出し続けることは、いささか無理な話です。与えられた数が素数かどうかを調べるにはかなりの計算(手間)を要するからです。
計算量が多いので、コンピュータをつかって素数を求めています。それでも、大きな数になってくると、それが素数なのかどうかはコンピュータ並みの計算量を使っても簡単にわからなくなってきます。
掛け算からみれば、素数は数の素(もと)であるはずです。これ以上分解できないわけですから。
数の素というと、1が最初に連想されると思いますが、これは足し算を前提にして考えた数の素です。
掛け算の演算からみた数の素は素数です。掛け算の面からみると、数の素の個数は無限です。生成元が無限であると言い換えることもできます。
掛け算をつかって、数を分解し、これ以上分解できない数が素数だというわけです。
つたない、私の思い出話をここまで読んでいただいて、ありがとうございました。
まとめ
掛け算をつかって分解できない数を素数という。
掛け算をつかって数を分解することを素因数分解という。
足し算の生成元は一個ですが、掛け算の生成元である素数は無限にある。
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