数直線は実数でも埋め尽くされない
実数についてよくある誤解の一つが、「数直線は実数で埋め尽くされている」という命題である。たしかに、数直線上に実数を埋め込むことは可能であるが、数直線上を有理数で埋めたところ、間がスカスカであったのと同様に、数直線上を実数で埋めたところで、間がスカスカなのは間違いない。しかし、「実数の連続性」という性質を根拠に、数直線は実数で隙間なく埋め尽くされているという先入観が思わぬところで発揮されてしまうのである。
このように、実数についてはわかっているようでも、ちょっとした先入観で間違った感覚が沸き起こり、誤った結論を導きやすい。
具体的に言うと、実数は無限小を含んでいないので数直線を埋め尽くすことができないのである。
つまりデデキント切断でふさごうとしている隙間には、
実のところ、無数の点が入り込める余地がある。
通常の実数の定義においては、隙間をひとつと考え、その隙間をに1つの実数を対応させる。
デデキント切断で生じる隙間に、無数の点を詰め込むことも可能で、
その粒度で考えると、数直線は実数だけで隙間だらけといえるのである。
つまり、すきまの幅(といてもその幅の長さは限りなく0)を持たせた実数を定義することで実数の連続性が確保できるが、
一方、隙間の幅よりさらに粒度を細かくした点を詰め込むことができ、
その点になんらかの数を対応させることができる。
現に、こうした数は超実数としての地位を確立しており、これが机上の空論でないことは明らかである。
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誤解のないように補足
実数が連続でないことを言ってるわけではありません。実際、私も数直線を実数の塊と思ってなにも不都合も矛盾を感じませんでした。ですから、ある意味、数直線は実数で埋まっているという言い方もできます。
しかし、そうでない考え方もあるということです。
有理数は数直線上のありとあらゆる場所を埋め尽くしていたかのように見えましたが、違いました。それは新しい無理数という数の存在を認めたくなったからです。無理数がない状態では有理数で数直線上は埋まっていましたが、その間に無理数(実数)が割り込んできたのです。
同様に、実数が数直線上を埋め尽くしているように思えます。しかし、どのような正の実数よりも小さな数を考えることが可能で、そのような微細な数を数直線上に埋め込むことができるのです。実数と実数の間に点を埋め込むことが可能かについては、話が長くなるため、別の機会にしたいと思います。
ここでの主張は、点は長さが0なのでいくらでも数直線には数が入り込む隙間があります。いや、点が入るために隙間など必要ないという言い方の方がよいのかもしれません。隙間がなくても点は割り込むことができるのです。長さが0とはそういうことです。
ただ、粒度を実数の大きさで見る限りは数直線は実数で満たされています。
原因は点です。数を点で表そうとするかぎり、点は長さ0ですから、いくらでも数は数直線上に乗ることとが可能になります。繰り返しになりますが、どんなに集めても点は線にはなりません。それが長さ0というものです。
≪…「数直線は実数で埋め尽くされている」という命題…≫を、二次元(平面(π))からの送りモノとして実数直線を捉えると、数の離散性(数える数)と数の連続性(量る数)をウマクウマク纏め上げているのを『幻のマスキングテープ』で知る。
数の言葉ヒフミヨ(1234)の「エラトステネスの篩」を『刀札』で創るコトであるとか・・・