数学で、5!のように、数字の後ろに!(びっくりマーク)がつくことがあります。
これは、数学では階乗記号(かいじょうきごう)と呼ばれています。
数学での!は、びっくりマークと言うこともしばしばありますが、エクスクラメーション(マーク/記号)や感嘆符と言うことは皆無ですね。
さて、このびっくりマークですが、どういう意味かと先ほどの5!の例で説明すると、
5!は、5×4×3×2×1
の意味です。つまり計算すると、5!とは、120の事です。
あらためて式で書くと、
5!=120
となります。
「階乗の階は階段の階」、「階乗の乗は、乗算(掛け算)の乗」です。
5!は、5段の階段から1段降りながら、掛け算した結果の数のことです。
5!の読み方ですが、「5のかいじょう」というのが普通ですが、場合によっては、5のビックリということもあります。
階乗(!)に関する公式
実は、階乗記号に関する公式はあまりまりません。
公式と呼ぶと大袈裟かもしれませんが、公式といえるのは、
n!=n (n-1)!
ぐらいですね。
5!で適用すると、
5!=5×4!というまあ、階乗の意味がわかっていれば証明するほどではない公式です。
実は、階乗の計算は手が焼けます。
5!を計算するには、普通に5×4×3×2×1を計算するのが一番簡単なのです。
なんかの公式を使って、もっと少ない計算方法で計算するなどというものはありません。
まあ、最後の×1については、計算しなくても省略できますが。
効率よく階乗計算する方法があれば、論文発表できるぐらいの代物ですから、この難題に挑戦するのもおもしろいかもしれません。
今のところ、計算を楽にしようと思っても、
せいぜい、計算する順番を変えるぐらいです。
例えば、
5×4×3×2×1
=(5×2)×(4×3)
=10×12
=120
といった具合に。
また、階乗の計算は掛け算の連続なので、足し算と比較して、数字がすぐに大きくなります。
コンピュータで計算するにしても、いろいろ工夫しないと桁数がすぐに足りなくなります。
100!を計算しようとした場合、コンピュータで計算しないと、手計算では普通は無理です。
裏技もありません。
ゼロの階乗0!=1
実は、0!=1と決められています。
0の階乗はもともと定義されていませんが、
先ほどの公式
n!=n (n-1)!
のnに1を代入すると
1!=1 ×0!
となるので、0!=1と決めておくと、
n!=n (n-1)!
の公式がn=1の場合でも使えるようになってとても自然な定義となります。
0!=1
は、奇妙に見えますが、とても自然な定義です。
負の数の階乗
ゼロの階乗と同じように、負の整数の階乗を考えようとしても、徒労に終わります。
たとえば、
n!=n (n-1)!
のnに0を代入すると、
0!=0×(-1)!
となりますが、これは
(-1)!がどんな数であったとしても、1=0といったあってはならない等式を導いてしまうため、(-1)!は存在しないと考えます。
まあ、感覚としては、(-1)!は1/0のような数なので無限大としたいのですが、このような計算は数学では許されていませんので、(-1)!は存在しないというのが正解です。
つまり、負の整数の階乗は値がありません。あえて表現するのなら、負の整数の階乗は、(数ではありませんが)無限大です。
階乗記号の出番
階乗記号は、順列・組み合わせの計算で頻繁に出てきます。
いろいろな事象が何個あるのか数えるときに使われます。
順列、組み合わせの数を表す記号、
\( \displaystyle {}_nP_m=\frac{n!}{m!}\)
\( \displaystyle {}_nC_m=\frac{n!}{m!(n-m)!}\)
で頻繁にでてきますね。
確率の計算においては事象を数えることが必須なので確率の分野で階乗記号はよく出現しますが、それは直接的な話です。
階乗記号の本質は数える事にあるため、個数を数えることが多い確率の分野で活躍するのはそうなのですが、実は代数の分野でもよくでてきます。
代数のなかでも、数論と呼ばれる分野でなにげに顔をだします。
数えるという意味では数論の方が本質的だからです。
階乗記号を使うことで、複雑にみえる関係式が単純に表現されることもよくあります。
ただ、階乗記号は計算がしずらいので、ぱっと見はあまりよくないですし、実用ではあまり活用されることは少ないです。
小さなな階乗の計算例
小さい数値での階乗の計算値は覚えておいたほうがよいです。
といっても、そんなに多くないのですぐに覚えられます。
0!=1
1!=1
2!=2
3!=6
4!=24
5!=120
これぐらいは覚えておいて損はないでしょう。
私の場合、10!ぐらいまではなんとか手計算できますが、それ以上となると、コンピュータ使います。
計算していけば、わかりますが、100!なんて、とても手計算ではむりなぐらい巨大な数です。
掛け算なので、どんどん大きくなっていくからですね。
階乗と二項定理
順列、組み合わせで階乗記号が頻繁に使われることは先ほど書きましたが、
階乗記号を使った式で一番有名なのは、二項定理でしょう。
\( \displaystyle (x+y)^n = \Sigma_{r=0}^{n} \frac{n!}{r!(n-r)!}x^ry^{n-r}\)
これです。
\( (x+y)^2=x^2+2xy+y^2\)
\( (x+y)^3=x^3+3x^2y+3xy^2+y^3\)
を一般化した公式ですね。
この公式、よくみると、0!=1が何気に使われていますよ。
0!=1は本当にうまくできた定義です。