超実数とならんでよく紹介されるのが、ドナルド・E. クヌース先生のかかれた小説にでてくる超現実数である。

超実数を考察する上で、無視することができない、というか、研究の題材として具体的で認知度も高い数なので、これを使わない手はない。

いわゆる無限大や無限小などをうまく取り扱える数の体系は今の所、なにか不自然で本質とずれを感じるのである。実数を超えた数の体系はこれまでもいくつか紹介されているが、その中の一つである、この超現実数は、普通の数とは全く異なった独自の数で、またその記法が独特であるから、なにか新しい数の例としては最適なのである。

私は、日本語訳の「至福の超現実数―純粋数学に魅せられた男と女の物語」を読んだだけなので、オリジナル(元来はコンウェイ先生が発案のようです)の超現実数とは異なった理解があるかもしれないが、数を考察するうえでの参考としよう。

話は脱線するがこの「超現実数(英語ではsurreal)」という名称だが、どうもしっくりこないのと思うのは私だけだろうか。実数を意味するrealが現実という意味をもつから、それを超える数という意味で超現実数と名付けたように思う。ただ、実数のことを日本語では現実数と言わないので、これがしっくりこない要因だろう。だからといって、超実数は、hyperrealの訳語として使われているから、その誤解をさけるための苦肉の策だろうか。超実数が多種の意味を持つよりも、区別できたほうがよいので、今となっては超現実数の訳があって、助かるのであるが、実は、超現実数の定義がわからなかったときには、両者(sureal,hyperreal)を混乱していたのである。

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