無限大と無限小、これらは、数のようであるが、数ではない概念である。これらを数として扱いたいのはやまやまであるが、今のところ数としては扱わない。

無限小とは、ゼロでない正の数で限りなくゼロに近い数としてよく表現される。無限小はあたかも数のように扱われる。実際、数のように扱ってもなんら問題ない場合も多い。限りなく数に似ているのである。

ただ、あまりに数と似ているために、ときおり、無限小×無限大は不定、無限大×無限大=無限大といった記述も見られる。これはこれで概念の性質を表しているので、異論を唱えないが、注意したいのは、無限小とゼロの区別である。

無限大を∞の記号で表すのはよいとしても、無限小を0(ゼロ)と表記すること、これは絶対にやめるべきだと考える。0/0は不定、∞×0は不定のような表記のことである。これはこれで便利な記法であるのだが、今後の考察では0はあくまでもゼロとして考える。無限大や無限小を数として扱うためには、無限小はゼロであってはならない。

したがって、特に断りがない場合には、0は真のゼロであって、情報的な性質のもとでは、0×∞が不定となることはなく、0×∞=0であり、0の逆数は存在が許されることはなく、よって0/0は数として定義されない。

無限大、無限小を具体的に考察することは、まだしていないが、今後、無限小(の一つ)を表す記法としては専ら「ε」、場合によっては、「+0」「-0」を使うこととする。

ともかく、無限の概念は、個人差があるのである。この個人差を少しでも少なくするために、0の記法は無限小の意味では使わない。ここでの主題はこのことである。

ただ、極限操作を表すときには、慣例にしたがって、
\[ \lim _{x→0} \frac{\sin(x)}{x} = 1 \]
などと記述することはあるが、混乱はないだろう。

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