なんて賢いんだと思ったラクダの分配の小話

17頭のラクダを持っていた父親がいた。その父親が亡くなり、17頭のラクダを息子3人で分配することになった。遺言では、長男には\(\frac{1}{2}\)、次男には\(\frac{1}{3}\)、三男には\(\frac{1}{9}\)のラクダを分配するように記されていた。

はてさて、ここで割り算の問題が生じだ。長男には\(\frac{17}{2}\)頭、次男には\(\frac{17}{3}\)頭、三男には\(\frac{17}{9}\)頭のラクダを分配しなければならないが、いずれも割り切れないではないか。どうやって分配すればよいのだ。ラクダを切り裂くわけにはいかない。

・・・ みなさんならどうしますか? ・・・

そこに、旅人が現れてこの問題を解決したというのだ。なんと、旅人が持っていたラクダ1頭をその兄弟に提供したのである。すると、あれあれ、いままで割り切れなかったラクダが割り切れるではないか。1頭足すことで割り切れる、そんなこと夢にも考えてはいなかった。どうやって切り裂かずに分配できるか、そればっかり考えていた。感動モノである。

そして、最後の落ちがまた感動的であった。なんと、兄弟にラクダを分配したあと、1頭のラクダが分配されずに残ったのである。「えっ!なぜ?」。旅人は、その残ったラクダを自分のものにして立ち去ったというのである。これまた感動である。残ったのが2頭や3頭でなく、提供した1頭だけというのも感動できだ。貸し借りなしで兄弟も気兼ねすることなく問題が解決された。

兄弟も旅人も損得なしにきっちりとラクダの分配ができて感動的であったが、いつもこんなに話がうまくいくはずがない。与えられた数のバランスがちょうど割り切れるからうまくいったわけで、旅人はそこを見破っていたのだ。芸当である。ができるであろうか。

別の分配でこのように感動的な話ができるか。

私は、その話を本で読んでから、考えた。旅人が1頭提供した段階で、すでに旅人は最後に1頭残ることを見通していたはずだ。いったいどうやって。なぜ、2頭ではだめなのか、もちろん2頭の提供では割り切れないので分配できない。たまたまこの場合は1頭で解決したが、つねに1頭の提供でうまくいくかというと、そんなに話は単純でないことがすぐにわかる。

例えば、11頭のラクダを\(\frac{1}{2}\)、\(\frac{1}{3}\)、\(\frac{1}{6}\)に分けようとすると失敗する。

遺産として残されたラクダの数と分配の比率から、何頭か提供すれば話がまるく収まるかどうか瞬時に計算したかった。どういった分配比率の時にうまく割り切れるのか、すぐにわかる方法があるだろうと考えた。しかし、その当時の私の頭ではそれができなかったのである。

旅人の話

私は、旅人が好きだ。旅人になりたい。どこからともなく現れた旅人(坊さんだという場合も多い)が、突拍子もない叡智を授けたかと思いきや、どこかかしこに去っていく。そんな旅人になりたい。そう考えながら数とはなにかを考えてきたのである。