定積分も不定積分もどちらも略して積分と呼ばれますので混乱します。

そこで、定積分と不定積分の違いを例をもって説明します。

 

不定積分

ある関数f(x)を微分してf'(x)になったとします。

このとき、f(x)のことをf'(x)の原始関数(不定積分とも言う)といいます。

不定積分(関数)を求める事は、微分の逆の操作に対応するので、単に積分(する)とも言います。

微分した関数のことを導関数といいますが、積分した関数は原始関数(不定積分)といいます。

記号の使い方ですが、関数f(x)を微分した関数は’(「ダッシュ」または「プライム」と呼ばれます)をつけてf'(x)と書くことが多いですが、不定積分はfの大文字FをつかってF(x)と書くことが多いです。

 

f(x)の微分は、\[ \frac{d}{dx} f(x) \]

といったダッシュを使わない記号がありますが、積分にも大文字を使わないもう一つの記号があります。

それは、積分記号\(\int\)(いんてぐらるとか積分と呼びます)を使って

\[ \int f(x) {dx} \]

と書きます。

f(x)を\(\int\)とdxで挟むことで、f(x)を(xで)不定積分した関数を表しています。

dxをいちいちつけるのは面倒な気がしますが、慣れてくるとよく積分の意味を表している記号になっていることがわかります。

少しだけ、説明しますと、どの変数で積分しているのか、dxで判断します。

 

 

ところで、微分してf(x)になる関数は一つとは限りません。たくさんあります。

例えば、f(x)=cos(x)とします。

微分してcos(x)になる関数は、公式よりsin(x)ですから、cos(x)の不定積分はsin(x)です。

といいたいところですが、実はsin(x)+1という関数も微分するとcos(x)になります。

定数についている+1は微分すると0になって消えるからですね。

同様に、sin(x)-2も微分するとcos(x)になりますから、cos(x)の不定積分の一つです。

このように、不定積分は一つに決まるとは限りません。無限にあります。

不定積分の一つを原始関数と呼ぶこともありますが、実際のところ単に積分と呼ぶことが多く、普通はそれで混乱はありません。

 

ある関数の原始関数が無限にあるといっても、実はそれは定数項の違いを除けば一つに定まることがわかっているからです。

 

逆にいうと、cos(x)の原始関数は、すべてsin(x)+Cの形になります。

 

ここで新しくでてきたCというのは、先ほどの例でいうと+1や-2のことです。

原始関数に定数を足したり引いたりしてできる関数も、元の関数の原始関数になっているので、cos(x)の原始関数は、sin(x)+C の形で表すことができます。

この定数Cは特別な時にでてくる定数なので、積分定数と名前が付けられています。

 

不定積分を求める問題でうっかり書き忘れがちな積分定数ですが、書き忘れてしまうだけで減点の対象になってしまいます。

関数(式)の最後につけるだけなの簡単な定数なので、深く考えず不定積分には、形式的に+C(Cは積分定数)を書く習慣をつけておきましょう。

 

積分定数が活躍することは皆無です。
あまり出番がないのですが、不定積分を求める問題では脚光をあびる定数となっています。

 

定積分

定積分とは、不定積分に二つの値を代入して引き算した結果のことです。

関数に値を代入するので結果は値(数値)です。

 

代入する値は、\(\int\)の右側に書きます。

\(\int_1^2 \cos(x) dx \)

 

のように書いた場合、1から2で定積分する(もしくは単に積分する)といい、

cos(x)の不定積分sin(x)のxに積分範囲(つまり1から2)をいれて引き算します。

ここで注意ですが、引く時は上の代入した値からしたの代入した値です。

1から2としている場合は、2を代入した値から1を代入した値をひきます。

なにに代入するのかといえば、不定積分に代入します。

 

cos(x)の不定積分(の一つ)は、sin(x)ですから、

sin(2)からsin(1)を引いたのがcos(x)の1から2での定積分です。

 

定積分は、sin(2)-sin(1)となります。

改めて式を書き直すと、

\(\int_1^2 \cos(x) dx = sin(2)-sin(1)\)

 

このように、定積分の場合には、かならず積分する範囲(さきほどの例では1から2に相当する部分)がないと計算できません。

 

 

導関数には微分係数、不定積分には定積分

微分の時には、微分した関数(導関数)に値をいれると、その折線の傾きが求められます。

それを微分係数というのでした。

積分の場合には、積分した関数(定積分)に値をいれると、関数の面積が求められます。

どこの面積をもとめるのかは、x軸(の範囲)で指定するため、二つの値が必要です。

その面積に対応するのが定積分です。